第2話:高天原の女神の巻。

若彦は風呂から上がるとすぐに女性用のパンツを持って来た。


女性モノのパンツなんかなんで持ってるんだよって話だけど、

決して干してあるパンツを盗んだわけじゅなくて、ちゃんと正規にネットで

買ったもの。

なんでかって言うと何を隠そう若彦は女性モノの下着フェチ。

気に入った下着を集めるのが趣味。


若彦は下着は美しい芸術品だと真剣に思っている。

なおかつ、女性の体も芸術品だと思っていて、女性の裸にブラとパンツは・・・

いやいやブラはなくてもパンツさえあれば、それを眺めるのはそれはもう

パリのオルセー美術館に行ってフランスの画家アレクサンドル・カバネルの

「ヴィーナスの誕生」を観覧するに匹敵するくらいの至福だと思っている。


ちょっと人に言うと引かれる傾向にはあるけど変態じゃない・・・変態かもしれ

ないけど・・・。


※干してあるパンツは盗んではいけません、犯罪です。


「とにかくパンツは履かせないと・・・にしても裸で恥ずかしくないのかよ?」

「はい、とりあえずこれ履いて?」


「なに?」


「君用のパンツ・・・履いてくれないと裸はまずいでしょ?」


「ヤダ・・・ずえ〜ったいヤダ」


「頼むからさ・・・履いてよ」


「え〜・・・いいじゃん、このままで、あんたの他に誰もいないんだから・・・」


「そのままで、いられるより履いてくれたほうがいいんだ」

「それはそれで嫌いじゃないけど意味もなく興奮したってしょうがないだろ?」


「私、そんなに魅力的?」

「試しにおっぱい舐めてみる?」


「舐めない・・・舐めたいけど、舐めない・・・って言うか、これから

君の個人的なことについて僕は無性に聞きたいの・・・なんでこんなことに

なってるのかについてね」

「その間だけでもそれは履いててほしかな、パンツは・・・」


「こら、わざとらしく股を開くな・・・僕を挑発して楽しいか?・・・

言うこと聞けよ」


「クスクス・・・」


「頼むから・・・僕は疲れてるんだよ」


「分かった・・・」


ってことで裸の女はしぶしぶパンツを履いた。


「なにこれ?このパンツっての窮屈なんだけど」


「君の時代じゃ下着なんてなかったんだろうことは想像つくけど我慢して

履いてたらそのうち慣れるから・・・」


自分のコレクションのパンツまで履かせて若彦はこの女を家で面倒見る

つもりか?

どこの誰とも分からない女を?・・・綺麗な子だから、まあでも気持ちは

分からないでもないけど・・・。


それよりこの女の正体だよ。


「あのさ、いろいろ知りたいことあるんだけど、まずは名前?君の名前?・・・

なんて名前?」


「私、「天探女」 あめのさぐめ・・・それが私の名前」


「あめのが苗字で?・・・さぐめが名前?」


「ちが〜う・・・天探女あめのさぐめ でひとつの名前」


「じゃ〜なんて呼べばいいのかな?・・・あまのさんとか?」


「サグメでいいんじゃない?」


「サグメ?」


「だから、私のこと、サグメって呼んで・・・」


「サグメちゃんね・・・分かった」


「で、僕の名前だけど「芦原 若彦あしはら わかひこ」」

「若彦の若は、歳が若いね〜の若で、彦は・・・織姫と彦星の彦星の彦」


「若?に・・・彦?・・・若彦」

「分かった・・・じゃ〜あんたのことは若彦って呼ぶ」


「でさ、なんで僕んちの風呂から出てきたの?普通はあんなことオカルト雑誌

にくらいしか載ってないような出来事だよ?」


「私ね、逃げてきたの・・・」


とぅ〜び〜こんて乳。



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