エピローグ いちごの未来
季節は巡り、また新たな春が「ベリーチャーン7」に訪れた。賢治は店での経験を積み重ねるうちに、いちごを乗せるだけでなく、生地を焼くこと、クリームを調合することにも長けていった。彼の作るショートケーキはもはや地元の名物となり、遠くから訪れる客も少なくない。
ある日、賢治はいつものようにキッチンで作業をしていると、小さな女の子が店に入ってきた。彼女は賢治が数年前の春祭りで出会った少女で、今では少し成長した姿で立っていた。「賢治さん、私、大きくなったらパティシエになりたいんです。だから、いつか賢治さんみたいに、素敵なケーキが作れるようになりたいんです」と彼女は言う。
賢治はその言葉に心からの喜びを感じる。彼自身もかつては自信が持てず、自分の将来に悩んでいたが、今では次世代の夢を支える立場になっていた。彼は少女に微笑みかけ、「一緒に頑張ろう。君の夢を叶えるために、僕が知っていることは全て教えるよ」と答える。
その後の日々、賢治は少女にケーキ作りの基本から、いちごを選ぶコツ、飾り付けのテクニックまで、丁寧に教えていく。彼の指導のもと、少女の技術は日々向上し、賢治のかつての姿を見るようで、彼自身も新たなやりがいを感じていた。
物語はここで終わるが、賢治と少女の旅はまだ始まったばかり。いちごを通じて繋がったふたりの絆は、時間を超え、新しい物語を紡ぎ出していく。賢治はかつての自分と同じように、少女に希望とインスピレーションを与え、そして彼自身もまた、彼女から新たな学びと刺激を受け続けるのだった。
苺と賢治 星咲 紗和(ほしざき さわ) @bosanezaki92
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