3話
「連理くん良かったね~携帯買ってもらえて!」
優菜がそういう。メイド達も全員携帯を持っているらしく、それぞれ離れているときなどは携帯で連絡を取るらしい。
「これで、伝説のヤリ〇ンになれるぜ」
もしかしたらチじゃなくマの可能性も無きにしもなんとか。
「うわ!最悪!女の敵~!」
何故女の敵にされたのか良く分からないが、まあいいだろう。今は気分が良いので尻を揉むのは許してやろう。
「連理、携帯買ったらレイン交換しよ」
舞が何やら気になる単語を口にする。
「レインってなんだ?美味しいのか?」
「アプリ。メッセージを取り合える。これでいつでも話せる」
ほう。そういう物があるのか。それは便利なことで。
「私も私もー!!」
晴香が便乗する。
「お前は子供だから携帯なんて持ってないだろ」
「子ども扱いしないでよー!!」
「晴香は年齢的にも子供でしょ」
舞から予想外の追撃が晴香を襲う。
「舞ちゃんまで!?私そんなに子供っぽいの!?」
主に顔立ちと身長ではあるが。
などとガキたちが喚いている。まあ連絡先なんてあっても困るもんじゃないだろう。
ここは素直に連絡先を好感しておいた方がいい。
「とりあえずセットアップ?だか何だかしなきゃ駄目だとか言ってたな」
携帯ショップの店員がそんなことを言っていた気がする。俺はそこら辺の事は良く分からない為、あまり話を聞いていなかったが、こいつらに任せれば何とかなるだろう。
「すぐだよ~。とりあえず家に着いたらすぐセットアップだね!」
そういう訳で俺たちは屋敷に戻ることにする。
…………別に戻る途中はなんもなかったぜ?
「できた~!これで使えるよ連理君!」
晴香が嬉しそうに声を上げる。俺は横で見ていただけだったが、なんとかなったようだ。
「そうか。じゃあな」
「ちょっと待ってよ!?連絡先交換しようよ!」
「あん?...ああそんなこと言ってたな」
「全くもー!!連理君ってば抜けてるよね!」
「俺が禿げだって言いてえのか!このチビ!」
理不尽にキレてみる。俺だって言葉の意味が分からない訳では無い。ただ揶揄っているだけである。
「理不尽!?」
晴香の鳴き声は理不尽!?らしい
「あなたたちはいったい何をしているの……」
何やらメイド1がつぶやく。
「綾香ちゃん!連理君が悪いんだよ!いっつも揶揄ってくるんだよ!」
「ああそうだ綾香、これが俺の連絡先らしい」
「あ、わかりました。登録しておきますね」
「私は!?」
「冗談だ冗談。ほら」
「全くもー!揶揄わないでよ!」
叩くと鳴くおもちゃみたいで面白いんだよな。晴香からしたらはた迷惑かも知れないが。
他のメイドは今は居ないので此奴らに連絡先を伝えておいてくれと言っておいた。
そんなことがありながら、一日を終えたのであったとさ!
「話が終わると思ったか?残念俺の入浴シーンだ」
何やら一瞬何者かに精神を乗っ取られたらしい。
「にしても賑やかなこった。まあ悪くないが」
あの時に比べればどんな環境もマシといえるだろうが。
むしろ今は楽しいの感じている。それもあいつ等のおかげだろう。
まああいつらに言わないが。ひそかに感謝はしておこう。
「風呂だって毎日入れるしな」
そう鏡に向かって話しかける。男は俺以外居ない為聞かれることも無い。
俺の顔をじっと見る。
「やっぱ似てるな。あの女と」
夢に出てきた女は俺を女にしたような容姿だった。やはり親族か、それに近い物だろう。
夢の記憶なので薄いが……。
それとよくよく考えると書斎に有った写真の翼の母親と思われる女とも若干似ている気がするが、まあ気のせいだろう。
あのおっさんから俺が生まれてくる訳ないからな。悍ましい。
「ふむ........。俺のエクスカリバーも手入れだけはしておこう」
前みたいにやむを得ずその時が来る可能性だってある。
男として不甲斐ない姿は見せられん!
と心で唱えつつ風呂を愉しんだのだった。
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