2章 1話

「おい、大丈夫かよこの計画……」


「そうだよ。捕まったりしないか?」


中心にいる男たちの周りにいる男たちが口々に不安を漏らす。


「バレなきゃ大丈夫だって!それにほら、俺んちがもみ消せば大丈夫だ」


「でもよぉ、見られたらSNSとかで拡散される可能性だってあるわけじゃん?」


「大丈夫だ。人気のない所でヤるからな」


それに相手は上玉も上玉だ。


下卑た笑みを浮かべながら男は言う。


「お前らだって見ただろ?あの女達をよ」


確かにあの時の女たちは皆上玉だった。誰だって抱いてみたいだろう。


でもそれは自分たちを犯罪者にするには十分すぎる罪だ。バレたら社会的に死んだも同然、暫く豚箱から出る事すらできない。


「お、おれはやるよ。修三がもみ消してくれるんだろ?」


「任せとけって。俺ん家警察の偉い人と繋がってるから」


「俺もや、やる。こんなチャンス滅多にないからな」


「計画の内容はだな......」


下種な男たちの声が響き渡る。


ー-----------------------------------ー-


「連理、早くしてください!急がないと乗り遅れますよ」


うがー。なんで休日にこんな早く起きなきゃいけねぇんだ!!


俺たちは現在急いで駅に向かっている。なんでも病院で再検査する必要があるだのなんだの。


「病院なんて行きたくなーい!!!」


「観念してください!すぐに終わりますから!」


「俺元気だって!マジどこも異常ない!」


「それを決めるのは連理ではありません!早くしてください!」


足が重いぜ。


「検査したら携帯買ってあげますから!」


むむ?聞き間違いか?携帯を買ってくれると??


「本当か?嘘だったら尻揉むからな!」


「けっ!?あーもう!それでいいから早くしてください!」


しゃあねぇ、携帯を買ってくれるなら行ってやらんことも無い。


俺は重い足を速める。


「は、早!ちょっとまって連理!」


わちゃわちゃしてたが、何とか駅に間に合う事が出来た。


駅にはメイド達が既に居り、チケットもろもろを既に用意していた。


「連理くんおっそーい!」


「何分待ったと思ってんのよ!」


次々に罵られるが俺には関係ない。


「だってよ翼。今度からは気を付けろよ?」


「あなたに言ってるんですよ...」


「連理さんこれどうぞ」


綾香にチケットを手渡される。


どう使えばいいんだこれ。


はっ!!そういう事か。天才の俺には手に取るようにわかるぜ!


俺は駅員に近づきチケットを掲げる。


駅員は何が可笑しいのかキョトンとした顔をしている。


おっと、何か間違えたのだろうか


「えー、チケットはこの先にある改札に通していただけると……」


「………。知ってるさ、ほんの冗談だ」


後ろでメイド達が笑っている気がするが俺は気にしない!


「ぷぷぷ!連理くんてやっぱ馬鹿なんだ~!」


「初めてここに来た時の咲良ちゃんと同じことしてます~」


「連理、アホの子」


それぞれが好き勝手言ってる。


それと咲良はあんな感じで俺と同じことしたのか......。


「気にしない気にしない。バカのいう事は気にしない」


俺は改札にダッシュで向かった。


「連理さん!そっちじゃありません!!!」


綾香が後ろで叫ぶが、その手には乗らない。さっき駅員はこっち側に指を指してたんだ。こっちに決まってる!


俺は改札にチケットを入れる。


ブーブーブー!!!


チケットを改札に居れた瞬間にけたたましい音と共に、ゲートが閉じられる。


「??????」


どういうことだ。俺は駅員が言った通りにした筈だ。


「れ、連理さん!?そっちは電車のチケットではありません!」


もう大人しくしとこう......


メイド達や翼にゲラゲラと笑われたので大人しくしておこう。これ以上恥を晒したくない。


ー---------------------------------


叢雲病院近くの駅に到着した。


この駅で降りる人が多いのか駅構内は人でごった返していた。


「なんか近未来って感じだな」


「そうですね。やはりこの周辺が叢雲市でも特に発展してますね」


仕事に行くやつ、学校に行くやつ、多種多様な人種が駅には居た。


その多様な人種が行き交う様子は中々に壮観であった。


そんな人混みの中を歩いていると直ぐに病院に着いた。


アクセスが良いのは病院だと特に重要そうである。


「出迎えも無いのか全く」


「病院に出迎えはありません。バカな事言ってないで早くしてください」


翼にこれでもかと罵倒されるがここは従おう。


「じゃあ翼様、私たちは....」


なにやらメイドと翼がひそひそしているが、何か用でもあったのだろう。


俺と翼はメイド達と別れ、控室に向かう。


控室には既に俺の知っている女医が居た。


「来たわね。今日は簡単な検査だから、心配しなくてもいいわ」


「て言ってもな。もう悪い所なんて無いぜ?」


「記憶は戻ったの?戻ってないなら検査は必要よ」


いーやーだー!


「簡単な検査ってなんだよ」


「簡単な検査よ」


だからその簡単な検査を知りたいんだが.....。


しょうがない、ここは従うしか無さそうだ……。

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