第4話 今も色あせない日々 迫るその時に思いは至らず

カナはソフトボール部に入ってるだけに、日焼けも気にしないで活動的。

性格はからっとしてて、笑顔になると八重歯が少しだけのぞく。

でも繊細で、友達思いで。

背は女子にしては少し高め、ポニーテールが良く似合う女の子だった。

プールにも一緒に行ったけど、そこにあった水着のまま乗れる絶叫マシーンはパスされた。



手芸が得意。

バレンタインデーの時は、ハンカチを縫って、それで大量のチョコレートを包んでくれた。

チョコ一個一個も布に包んであるのには驚いたけど。



星空が好き。

けっこうプラネタリウムは見に行った。

映像がスタートするときに真っ暗になるので、ちょっとだけイタズラ心を出して、キスをしたことがある。



ピアノが弾ける。

僕は高校に入学したときにベースを買って、少しだけ練習していた。カナは時々友達と連弾とかして発表会にも出ていた。そしたら、文化祭前に2人そろってバンドをしよう!と誘われ、バンドを組むことになってしまった。カナはともかく、僕は練習するのが大変だった。リハはみんな緊張しすぎてバラバラで最悪。本番は最後の曲でギターの弦が切れ、曲が止まってしまった。



修学旅行は、長野でスキーだった。

僕は経験者だったので、そっちのグループに入ってげれんでのあちらこちら滑ってたから、カナと会えるのはホテルに戻って自由時間の時と、夜中にこっそり部屋を抜け出した時くらい。「こっそり抜け出す」のは、僕たちだけじゃなかったから、階段の途中に「先客」がいると、ちょっと気まずかった。


この時、ちょっとだけ頑張って、カナを後ろから抱きしめる形で写真を撮ってもらった。

カナは顔を真っ赤にして何とも言えない表情をしてたけど、僕は僕で照れた顔を悟られないように必死だった。


修学旅行が終われば、いよいよ進学に向けてのクラス分け。

高校選びと違い、大学は、より将来したいことを明確にして選ばないといけない。

同じ大学を目指しても、同じ学部を目指すことにはならないだろうと、二人で話す中で考えた。


でもこの時はまだ、2人でこの先もずっと一緒にいたいと思ってたし、いられると思ってた。

そう信じて、2人は3年生の学習コースを選択した。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る