第2話 遠征に性処理は必要だからセーフ


「いやぁ、もう最高だったよ~」



 帝都冒険者ギルドの一室。

 新人冒険者ラズリは、同じく新人の同期達と話していた。


「ルーキーズトーナメントで優勝したらシモン様の特別訓練が受けられる。って聞いてたけど本当に特別な訓練なんてね~」


 薄い胸を張り上げ、自慢気に惚気けるラズリ。

 それを見る同期たちは苦々しく、『どうしてこんなやつが』といった感情が顔に浮かんでいる。


「......見てたわよっ、私達が集団でマラソンしてる中、教官と手を繋いで歩くとこ!」


 悔し気にそう答えたのはラズリの同期の中でも有望株の少女だ。

 新人の中で一番を決めるギルド内の模擬戦、ルーキーズトーナメント決勝でラズリと戦った彼女。

『あと少し何かが違っていれば、処女を卒業できたのは私だったかもしれない』

 そんな思いが、より悔しさを増大させていた。


「あの噂、本当だったんだね。一般人でも知っているレベルに有名な冒険者の、あのシモン様がヤラせてくれるっての。......絶対ガセだと思ってた」


「うっ……!あの新人にも優しい教官がっ!ラズリみたいな性獣にヤられるなんて……!」


「……これが、鬱濡れってやつかしら。……なんだか頭も痛いわ」


 恨めしそうにラズリを睨むもの、行き場のない感情に頭を振るもの、失意の涙を顔と股間から流すもの。

 ルーキー達の表情はまちまちであった。



「まあ処女のあんた達じゃ、パワーアップした私には勝てないわ。言っておくけど来月からの賞レース一つも譲る気ないから」


「んなっ!?ちょっとラズリ、『もし本当にシモン様が処女貰ってくれるなら、同期20人全員で卒業するまで賞レースは八百長しよう』って言いだしたのはアンタじゃん!ズルいだろそんなの!」


「冷静に考えて八百長なんてダメでしょ~、あんた達と姉妹になりたくもないしね」




『この野郎だけは絶対に殺す』


 来月頭に開催されるギルド内賞レース、『アオバランカーズ』

 そこでラズリにだけは絶対に勝たせないという、鉄の約束が同期の間でなされるのであった。






 ◇




「いい加減、働いてきなさい」



 ギルドマスターにそう言われ、俺ことシモンは商隊の護衛をしていた。

 まあ護衛と言っても、ほとんどのモンスターは乗っている俺たちのオーラに気圧されて出てこない。

 ほとんど幌馬車の中で待機するだけ、置物で終わるような任務なのだが。



「暇だなぁ、なあシンシア、脱衣トランプでもしないか?」


「......しない」



 つれないこと。


 一緒に乗っている女性、俺と同期入団のシンシア。年齢は俺より2つ下の24歳。


 背中まで届く金髪、瞳は澄んだ青色。

 女性にしては背は高く、スラリとした体躯だが胸には確かなふくらみがある。

 魔法とレイピアを使う戦士である彼女は、恰好を変えればシスターと間違われそうな清楚な雰囲気を持っている。


 そんな彼女はジトっとした瞳で俺を見つめていた。



「本当にシモンは変わらないな、10年前に入団してからずっとオスガキ、いや性に奔放なエロお兄さんのままだ。仕事中だぞ」


「仕事だから脱衣で済ませてるんじゃないか、仕事じゃなかったらセックスしてる」


「お前のことはよく分かっている、絶対に脱衣じゃ終わらないね。賭けてもいい」



 バレてやがる。

 これがギルドの新人ならば先輩パワーでゴリ押せるのだが、流石は俺の同期だ。

 俺の事をよくわかっている。



「分かった分かった、脱衣なしでいいからトランプしようぜ。そうだな、ポーカーにしよう」



「まあ脱衣なしなら、いいよ」



「よし、普通にやってもつまらんからな。夜飯奢りもつけようぜ」






 ◇





「わらしは、ポーカーに負けた、メス豚です♡シモン様もう一度勝負してください」




 俺は幌馬車に足を伸ばして座り、膝上に乗せたシンシアから熱いキスを受けていた。




 全くちょろい同期だぜ。


 シンシアはクールぶっているが、その実めちゃくちゃ負けず嫌いだ。

 そんな彼女を相手にポーカーで一勝しただけで終わるはずがないことは分かっていた。

 シンシアなら、勝つまでやる、勝って終わるまでやるだろう。その自信があった。




 晩飯代から始まり、明日のごはん代、今夜のセックス相手、明日のセックス相手、幌馬車でのキス奉仕。無様な言葉遣いの強要。


 徐々に報酬を釣り上げていったが6戦して無敗。


 最早、隊商護衛をする間の2日間、彼女は俺の言うことを聞くしかないほどに負けていた。




 悔しそうに顔を歪める真面目で負けず嫌いの彼女。

 同期として、彼女を哀れに思う気持ちもある。

 しかし賭け事は怖いのだと、分からせてやらねば今後のためにならない。

 ここは心を鬼にして、彼女の奉仕を受けなければ。



「もっと口の隅々までなめろ、がはは」


「っっっ~~~!!?」



 俺に跨る彼女の尻をパンパンと叩く。

 額に青筋を立て、ピクピクとさせながらもシンシアは従順に従った。

 彼女の舌が俺の歯茎の前面をペロペロと舐める。

 真面目な彼女による、真面目な奉仕。



 彼女が熱心に口を舐める度にぽよん、ぽよんと柔らかい彼女のおっぱいが俺の胸板に当たる。

 思わず、服の上からわしづかみしてしまった。



「っっっ!?お、おい!」



「んー?シンシア、なんだその言葉遣いは」



「くっ、......し、シモン様。今は仕事中ですから、シモン様から、触るのはルール違反。お触りはだ、だめですよぉ♡」




 シンシアはそう言うと、『見えてないとはいえ、護衛の仕事中だぞ、セックスはしないからな』と目で訴えかけながら口づけを再開してくる。


 口に入ってくる舌も俺の舌を突くように動き、その不満げな態度を伝えてきた。


 だが、シンシアを抱き尽くした俺には分かる。

 なんだかんだ彼女は強引なプレイに弱いということが。

 こういう強引なプレイに興奮してしまう、いわゆるドMなのだ。

 もう一押しすれば、馬車の中でもヤレるだろう。


 しかし。



「確かに!シンシアすまないな、仕事中に触ってしまって。もうしないよ」



 カレーは寝かしたほうが旨い。

 到着まで後2時間ほど、彼女の熱烈なキスで今夜の準備をしようじゃないか。


 着いたら、しこたまヤリ倒す。



 ◇



「シモン様、シンシア様。無事に到着いたしました。隊商を代表してお礼を申し上げます、ご協力ありがとうございます」


 俺たちは到着した目的地の街にて隊商のお姉さんから挨拶を受けていた。

 街で一泊した後、翌朝には隊商の人員を整理して、またすぐに帝都行きの隊商護衛任務となる。

 代表の彼女は寝ずに積荷の入れ替えや陣頭指揮とるそうだが、慣れたもの、とのこと。商人ってスゲーわ。


「いえいえ、仕事ですから。明日もよろしくお願いします」


「しかし、凄いですね。今回通った場所はいつもモンスターに10回は襲撃されるのですが、まさか一度も出ないとは、これも『青剣』のシモン様に『音速』のシンシア様、お二人の威光でしょうか」


「まあ、これでも有数の上位冒険者ですから。まかせてください」


「頼りにしております。......ただ、そのぉ、シンシア様は大丈夫ですか?」



 シモンの隣に立つ、『音速』の異名を持つシンシア。

 しかしその姿に覇気はない、重い風邪にかかったかのように顔を赤くし、ハァハァと息を荒げている。

 数時間の間イキそうでイけない身体のまま、奉仕をさせられた彼女は限界だった。



「すみません、久しぶりの護衛ということで張り切りすぎてしまったようで、な、シンシア?」



 彼女の尻をポンと叩く。

 それだけで出来上がっている彼女の身体はビクンと跳ねた。



「......ハァー、はひ♡、ハァ、し、シンシアは、だいじょうぶれすぅ♡♡」


「彼女には、モンスターを寄せ付けないようオーラを出してもらってたんです、でもやりすぎてしまったようでして」


「そ、そうでしたか、そこまでご尽力いただけるとは......。重ねてありがとうございます」


「いえいえ、お気になさらず。ですが、明日に備えて今日はこれで失礼させていただきます、ほらシンシア」


「はぁ、ハァ、し、シンシアぁ♡ ハァ しつれい、します♡」


 今にもアヘ顔でダブルピースを浮かべそうな同期を連れて宿へと移動した。







 宿につくと同時に、俺達は抱き合った。

 結局、空が白むまで繫がっていた。







「これだけやれば、妊娠するかもなぁ?シンシア、産むか?」


「......ビッチの子は、産まない♡ 後で避妊魔法かける♡」



 なんて酷いことを言うんだ。本当のことだけどさ。

 明日はもっと虐めてやろう。




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