エリアボス以上?
3人で情報クランのオフィスに戻るとようやく落ち着いた2人。
「本当にタクには驚かされぱなしね」
「全くだ」
「まさかもう他には無いわよね」
そう言われて思い出した。
「忍者のステータスの件とタロウのスキルの件がある」
「まだあるの?」
大した事じゃないかも知れないんだけどという前置きをしてから俺は2人にサポートAIのミントから聞いた話、忍者は50になるとレベルが1上がる度に上昇するステータスの数値が高くなる。ステータスの上昇率が上がるという話をした。あとタロウが50になって集中が戦闘中に常時発動になったと2人に言う。
聞いていた2人はまた驚いた表情になる。これ、ひょっとして大した事だった?
「つまり忍者ってのは。12で一気にステータスが上がった。そこからはレベルが上がるに応じてステータスが上がっていった。そして50になったらそこからはステータスの上昇率が今までよりも高くなるって事?」
クラリアが上手くまとめてくれた。その通りだよと言ってから俺が聞いた。
「他のジョブはどうなっているの?」
「他のジョブ、忍者以外のジョブについては分かっているが、全てLV1から今までの上昇率はほぼ同じということが検証されているんだ。つまり忍者だけが特別だということになる。忍者はそうとして、タロウのその集中の常時発動もすごいな。戦闘中とはいえ常時発動ってのはもうスキルじゃないぞ」
俺の質問にトミーが答えてくれた。
だから忍者が強いかどうかは俺は分からないが、どうやら忍者というジョブだけ特殊な成長をするのだということは理解した。トミーがレベルが上がると忍者が強くなるだろうとか言っていたがどうなのかな。
「ところでさ、こっちからもお願いがあるんだけど。黒翡翠の欠片を使ったNM戦の手伝いをお願いしたいんだよ。俺、この世界で知っている人が少ないし」
「それは情報クランからもお願いしたいと思っていた。イベントが始まってあちこちからトリガーが出ているが全てが緑翡翠の欠片なんだよ。黒翡翠の欠片は今のところタクが持っている1個だけだ」
結構レアなトリガーなんだ。その後メンバー集めをする前に何人が参加するNM戦なのかを確認する必要があると言ってきた。俺は当然NM戦の経験がない。2人によるとNM戦ができる場所が複数箇所固定であり、そこにトリガーを持っているプレイヤーが近づけば情報が手に入るのだという。
早速行こうということになった。今回はトリガー場所の確認とNM戦の人数の確認だけなので従魔は呼び出さずに3人だけでフィールドに出る。そう遠く無い場所にあるらしい。
街を出て5分程で広い草原の一角についた。ここがNM戦が行われる場所らしい。
「あそこで数ヶ所地面が光ってるのがあるでしょ?あれに端末を近づけたら情報が取れるの」
クラリアによるとNM戦が始まると特殊なフィールドに飛ばされるので周囲を気にする必要がない。なので複数のPOPポイントが固まっていても問題がないらしい。
俺たち3人は地面が光っている場所の1つに近づいて端末を差し出した。すると脳内に声が聞こえてきた。
『黒翡翠の欠片を使って特殊戦闘を行いますか?人数は最大25名、時間は4時間となります。NM戦をする場合は端末を光に近づけてください。専用フィールドに移動してから10分後にNMがPOPします』
それを聞いた俺はその場から離れて今聞いた言葉を2人に伝えた。
「25名で4時間と言ったんだね?」
トミーが確認する様に言ったのでそうだと言うと、今までにない規模のNM戦だと言う。ちなみに4時間とはゲーム時間のことなのでリアルだと1時間になる。長いな。
「緑翡翠の欠片を使った場合は人数は15名、時間は2時間なんだよ」
「相当強いNMがPOPするってことね。これは真剣にメンバーを選ばないと」
フィールドから再びオフィスに戻ってくるとクラリアが俺の知り合いで呼べそうなのは誰かいる?と聞いてきた。
「来るかどうかは分からないけどルリという53の戦士とリサという53の僧侶はフレンドなので声をかけられる」
そう言うとあのシルバーフォックスとブラックフォックスを従魔にしている2人ねと言った。以前情報クランに顔を出しているので覚えていたみたいだ。
「その2人だけ?」
「あと1人、第3の街で知り合ってフレンド交換した人がいるな。攻略組って言ってたけどスタンリーっていう人」
彼の名前を出したらクラリアもトミーも驚いた表情になった。どうした?
「タクはスタンリーを知ってるの?」
「知ってるというか、第3の街の公園で話をしてフレンド登録をしただけだけど」
「スタンリーは攻略組のクランリーダーなんだよ。あのクランはPWLで最も攻略が進んでいるクランでこの東の街への到達も一番だった。我々のクランとは仲が良くてね、しょっちゅう情報交換をしている」
そうなんだ。話した限りだとスタンリーもいい人ぽかったからな。でも彼がリーダーだとは思わなかったよ。すごい人だったんだ。
「タクがスタンリーを知っているのなら話が早いわ。彼今この街にいるみたいだから来てもらいましょう」
そう言ってその場でクラリアがスタンリーと通話をしている。
「サブマスターと一緒にすぐに来るって」
程なくスタンリーと攻略クランのサブマスター、精霊士っぽいヒューマンの女性の2人がオフィスの応接間に入ってきた。スタンリーは知っているがヒューマンの女性は初めてだ。女性でサブマスをやるくらいだからしっかりしているんだろう。
「やあ、タク。久しぶり」
「こんにちは。久しぶり」
「彼女はクランのサブマスターをしている精霊士のマリア。僕よりも優秀だよ」
そんなことはありません、よろしくと挨拶をしてきた。
自己紹介が終わると5人が応接セットに座った。
「何でもトリガーNM戦でお願いがあるっていうことだけど」
スタンリーがそう言うとクラリアが話をしてくれる。俺はNM戦とかよく知らないから情報クランの人たちが話をしてくれて助かったと黙って聞いていた。スタンリーとマリアは話を聞きながらも時折俺の方を見てくる。
「黒翡翠の欠片というのは聞いたことがないな」
「私もありませんね。周囲にもいないでしょう」
「スタンリーと会った公園があっただろう?第3の街の公園。あそこでぶらぶらしてたらNPCの人が渡してくれたんだよ。俺あの公園が気に入っててさ、毎日ログアウト前にあの公園でぼーっとしてたんだよ。それを見ていたらしくてね。その人がこの公園が好きなのならお仲間だからこれをあげようって欠片をくれた」
「そういう形でのトリガー入手もあったのか。フィールドだけじゃなかったんだな」
「しかも山裾の街じゃなくて第3の街ってのも盲点だったわね」
攻略クランの2人が感心した声で話している。
「偶然、たまたま貰ったって感じだよ」
実際そうだし。
「それでさっきこの3人でNMのPOPポイントに行ってきたの。情報が取れたわ。人数は25名、時間は4時間のNM戦よ」
それを聞いたスタンリーの目が鋭くなった。隣でマリアも驚いた表情からすぐに考え込む表情になる。
「25名で4時間、相当強いNMだな」
「エリアボス戦以上になる可能性がありますね」
スタンリーとマリアが話あっているのを聞いている俺。
「マジ?」
まさかエリアボス戦よりも強いとは思ってもみなかった。
その後俺がルリとリサにメッセージを入れるとすぐに返事が来た。2人とも参加希望だという。
結局俺とルリとリサ。それぞれの従魔を入れて7枠。それ以外の18枠を攻略クランと情報クランで埋めることになる。メンバーについては2つのクランに任せた。こっちは知り合いが少ないからね。
俺のトリガーを使ったNM戦はイベント最終日のリアルの午後2時からすることになった。イベントの最終日がリアルで日曜日だったので社会人のプレイヤーもその時間なら参加できる。
そしてその前、12時からルリのトリガーを使って15名でNM戦をやることに決まった。俺もルリ、リサもNM戦の経験がない。慣れる意味で1戦やった方が良いだろうということでこれは情報クランのメンバーがヘルプで参加してくれることになった。もちろんルリもリサもOKだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます