第2話 潜入調査


彼は木々に擬態し 再び休息を取った。


───彼の能力は『擬態』。姿をあらゆる物に擬態し どんな所にでも入り込む事が可能。そして ある程度だが姿形を変える事も出来るが まだ欠点が有るため 完璧とは程遠い。


────しばらく経った頃。彼は時々街に現れては 人助けをしていた。そのお陰か 街では『困ったらヴェイフ様が助けてくれる』と噂が広まっていた。中には神と崇める者まで。


ヴェイフ「そろそろ良いだろう。此処での評価は十分だ。」


彼はゆっくりと擬態を解き 街から去ろうと歩き出す。


ヴェイフ「人助けも悪くない。」


そう呟くと 背後から黒いフードに顔を包んだ人物が現れ話し掛けてきた。


?「ねぇ。君がヴェイフ?」

ヴェイフ「あぁ。何だ。」

?「君の事観察しておくから。まぁ忘れた頃に君の所へまた行くね。」

ヴェイフ「待て!お前は誰だ!」


声の主はニヤリと笑い 一瞬にして闇に包まれて消えた。


ヴェイフ「今のは...」


彼の頭の中に不安と疑問が残るが 取り敢えず本題の少し離れた王国へ向かう事にした。移動での疲労を無くすために 彼は自身の能力で蛇に擬態した。そして森を駆け抜ける。王国までの道は街から距離があるためか 道が整備されていない所が多く 蛇になった彼はスピードを落とさずに走り続ける事が出来た。


______1時間程経った頃王国が見えてきた。


ヴェイフ「やっと着いたか...」


少し疲れながらも 彼は姿を戻し歩く事にした。そして王国の門へ着いた時。


門番「止まれ!何者だ!」

ヴェイフ「少々この王国に泊まりたい。入れるか?」

門番「何者だ。名を名乗れ!」

ヴェイフ「ヴェイフ・セイント。」

門番「承知した。この紙にサインを。」

ヴェイフ「承知。」


門番は紙にサインを書かせると 彼の身体を隅々まで調べた。


門番「ふむ。特に怪しいものは持っていないようだな。少し待て!」


待つ事30分。ヴェイフは門の中へ入る事が出来た。王国は栄えており 民も笑い合い幸せに暮らしている様に見えるが やはり神と悪魔の戦争の影響で作物が取れない事から 貧しい暮らしを送っている者もいる。取り敢えず民に話しかける事にした。

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