読みにくい=意味が重い、読みやすい=意味が軽い

「考えろ、頭を使え。」ってのは、とにかく無闇矢鱈に無茶苦茶に表現技巧を凝らしまくればいいと言ってるわけじゃない。意図を込めろって、意味を込めろって言ってるの。文章に字面以上の意味を込めて、その意味が伝わるように文章を上手に書く必要があるの。


このトラブルシューティングでは以前コラムで「字数の長さと意味の重さの関係」について述べたことがあったけれど、今回はその理論の拡張を図るというわけです。読んでない人は下のリンクから。

https://kakuyomu.jp/works/16818093075666037277/episodes/16818093076616485284


結論から言うと、読者の目が止まった時間が長いほど、その言葉の意味は重く受け止められる、という法則があります。そして、読者の目が止まりやすくなる技術を4つほど確認しましょう。


①字数を増やす そのまま。1つの情報を記述する字数が増えれば増えるほど読者の注意が集中する。


②文中の漢字を増やす。難読漢字や熟語の羅列を連続させることで、文章の意味の密度が大きい。「むやみやたらにめちゃくちゃに」と「無闇矢鱈に滅茶苦茶に」では、後者の方が意味の密度が大きい。


③傍点を使う。少ない文字数の言葉に注目させたときにはやって傍点を付与すれば読者の注意をむけることができる。


④珍しい言葉や難しい表現を使う。いわゆる純文学や、純文学を志す人にありがちなテクニック。個人的にはそういう文章、ごてごてで好きじゃ無い。読者にとって未知の言葉はストレスであり、向けられる注意の量が増加する。


次に言葉の意味を軽くするテクニックも3つくらい紹介しましょう。


①字数を減らす いわずもがな。説明する情報の削減にも繋がる。字数が少ないほど単純に、読み込むまでの時間が短くなる。


②読み仮名を使う いわゆるルビ。適切に使えば読者の負担を減らせる。非・常用漢字につけることで読めない文字の発生を回避できる。但し、漢字に漢字、横文字に別の横文字、といったような本来的には間違っているルビの使い方は逆効果です。これいついては表現技法としてもあまりオススメしませんが、その理由はまた別枠で。


③簡単な語彙を使う。難しい言葉や表現を使わないで文章を書けば、それだけ文章は読みやすくなる。誰かに何かを伝えるための文章を書くときに、わざわざ伝わらない言葉を使って文章を書く必要は無い。慣用句などの使い方についての細かい話は別枠で行う。


要は、読みにくい=意味が重い、読みやすい=意味が軽いという法則がある、という訳ですが、良い小説を書くためには技巧を凝らしまくって、ひたすら読みにくくすれば良いという訳ではなく、かといってひたすら読みやすくすれば良いという訳でもなく、その両方を利用して文章に緩急を付ける、筆者が注目して欲しいところとそうでないところを、読者がなんとなく読み取れる作品を作った方が良い。と、私は思います。

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