1つのナレーションに、2つの世界
この記事はレベル3の「言葉に属性を与える」を更に応用するテクニックについて論じる。
ニーチェは言った。「神は死んだ。」この思想がヨーロッパに広がって行くにつれて、小説においても、一人称に全能性が無いのは当然ながら、神の視点とも呼ばれている三人称視点からも全知全能の性格が失われるようになった。
ヴァージニア・ウルフの "The Waves" なんかは、三人称視点で描かれていながら、視点はまるで卑近なカメラのような、読者が劇の観衆であるかのような、とにかく生身の人間に近い視点に置かれている。
ナレーションに不完全性が認められたことで、技法の幅は格段に広がった。一人称小説には「信用できない語り手」というテクニックがある。ということを以前述べたが、三人称小説でも同様なことが不可能である訳では無い。
自分が一人称の小説ばっか読んできて、自分でも一人称の小説ばかり書いているせいで具体例が思いつかないが、1つのナレーションに2つの世界を含ませれば良いのである。このテクニックは(一人称であるとはいえ)私が書いた、
「潤った砂漠は乾涸びを求めて」 https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=20550969
とか
『美しき雪に捧ぐ』の「おやすみとおはようを」 https://kakuyomu.jp/works/16818093074612084117/episodes/16818093074962630721
で実感してもらえると思う。
「おやすみとおはようを」についてはこのトラブルシューティングの中に解説記事を3枠設けてあるので、そちらを参照してもらうとより理解が深まるであろう。あとPV数が増えて嬉しい。
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