物語と書いてエピソードと読むな

極論を言うと、私はルビ使うの美しくないと思う。ルビを使うくらいならもっと、読み仮名不要な簡易な言葉を使って言い換えた方が良いと思う。仮にルビを付けなかったとしても、読み方の難しい言葉って読者の視線をそこで引きつけちゃって、意味が重くなってしまうので。


物語エピソード」って感じのルビの振り方。別に滅びた方が良いとは思わないけれど、ださいから私は絶対に使わない。「エピソード」という5文字だけを使うか、「物語」という2文字だけを使うか、「物語、つまりエピソード」という読点を含めた11文字かになる。その内のどれにするのかは、どれだけの意味の重さを与えたいか与えたくないかに依存する。最後のヤツは私は使わない。密度が軽すぎる。


本来的では無いルビ(以下、不正ルビと表記する)の使い方をなぜそこまで嫌うかという理由は3つある。


①そういった使われ方をするルビが1つでもあると、不正ルビをつけた筆者の意識だけが浮き上がって、それ以外の部分が埋もれてしまうからである。


不正ルビには傍点と同じように当該の箇所を目立たせて意味に重みを与える効果があるので、使わない方が良いということです。


②ルビを付けると、ルビが付いた言葉からルビで示されている以上の意味合いを読み取ることができない。からである。


例えば「生存者サバイバー」みたいに不正ルビを使用すると、その「生存者」という言葉の持つ、「サバイバー」という言葉と共通している部分が際立ってしまい、「現在時点で生存している」という状態以外のニュアンスを読み取りにくくなってしまう。(c.f. 生存者には、この先にも人生がある。生存者は、犠牲者では無い。)


③ルビにルビを振ることはできないからである。


ルビを振ってしまうと、ルビ元と不正ルビに使われている言葉以上の意味を見いだしにくくなる。仮に不正ルビを使った言葉に三重以上の意味合いを込めていたとしても、ルビを使ってしまうとそのうちの2つしか読者は読み取れない。そこに筆者の三重目の意図があったとしたらそもそも不正ルビなんて使わないはずだし、もし使ったとしてそれは情報の提示の仕方がアンフェアで、上手い文章とは到底言えない。


以上が、私のルビ反対論の概要。ルビを使って出せる言葉の深みはせいぜい二重。私は非・常用漢字をどうしても使いたい時以外ルビを使わないようにしている。ご参考までに。

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