隠し味を主題にするには
この記事は「文章に隠し味を入れるには」の応用テクニックになります。一番目立たせたい対象の前だけ形容詞の属性を変えることで、字数の関係的には隠し味であるはずの形容詞の印象レベルが高まる効果があるんです。
①「蛍光灯の光に照らされ、みずみずしそうで美味しそうなサラダ。」
②「蛍光灯の光に照らされ、みずみずしそうで美味しそうなだけのサラダ。」
②は①とは違って、サラダに対する否定的な評価が表現されています。「だけ」とか「ではない」とかいった、主に否定的な表現との相性が良いでしょうか。これを読み取れるかどうかで文意が大きく異なってしまい、隠し味が主体となっているとも言えるでしょう。
このテクニックを使っている有名な和歌がありますね。
「春霞かすみていにしかりがねは今ぞ鳴くなる秋霧のうへに」
僕はこの歌が大好きなんですけど。「かすみていにし」という7文字で春のイメージが打ち消され、季節が秋へと推移していくという、とっても美しい日本語が表現されているのです。
ただ、隠し味として打消表現を利用すると、読者の読み飛ばしを誘いやすくなり、あんまりよい文章とは評価しがたくなってしまいます。無駄に多用するのではなく、本当に大切なところだけ(むしろ否定を読み飛ばしてほしい内容を書くとき)におすすめのテクニックです。
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