第11話
「なぁ佑樹?」
「どうした?」
一緒にゲームをしながら話しかけてくる。
「…………」
「ほんとにどうした?」
「呼んでみただけ。祐樹がいることが幸せだから」
「フフッよかった……よかったのか?」
「そうだ!俺たちだけで出かけないか?」
「そういえば佑樹と二人で出かけたことなんてなかったな」
「樹いいよな?」
「もちろん、でもその格好はやめておいたほうが……」
「わかってるよ」
俺たちはセーターを着こんだ。外は雪。もうすぐでクリスマスだ。
外はクリスマス一色だった。まるで転生前の東京みたい。紗季とイルミネーション見に行ったっけ。
「なぁ君のことをどう呼べばいいのかわからないな」
俺は隣に並んでいるアーサーに言う。
混乱すると思ったけど、アーサーはこう言ってきた。
「やっと分かったか……」
「お前、紗季だろ」
「そうだよ」
あっさりと認めた。
「なんでわかったの?」
「いや確証はなかったんだけど、僕が気を失う時の様子が紗季と同じだったんだ」
「そっか」
アーサーは微笑を浮かべている。俺も微笑を浮かべた。
「でも君はこのままアーサーのままでいてほしいんだ」
アーサーはこくんと頷く。
「あいつには内緒にしておこう。な」
俺はニカッと笑って見せる。
とそこに誰かが割り込む。
「誰に何を内緒にするって?」
「「え⁉」」
樹がパンがはみ出ている紙袋を抱えながら俺たちに詰め寄る。
「俺に隠し事か?」
「あっいや……」
とりあえず俺たちはカフェに入ってカフェラテを飲んでいる。
「それで?」
向かいに座った樹がジト目になる。
「…………」
「俺が紗季だって佑樹が気づいたんだ」
「え⁉君が紗季なの?」
「そうだよ。俺も信じたくなかったけどね。紗季だけは生きているって信じていたからね」
「……ごめん」
アーサーが小さくなる。
「なんで君が謝る」
「さっきも言ったけど、アーサーはアーサーのままがいいんだ」
「それもそっか。俺たちはいつも通り接するからさ」
「二人とも……ありがとう……」
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