第39話:仔猫たちの個性

「ミイッ! ミイッ! (ごはん! ごはん!)」

「はいはい、ジョイは元気だなぁ」


 保護部屋に入ると、ケージの扉付近に大集合する仔猫たち。

 扉が仔猫に覆われて、リンネが見えないぞ(笑)

 むしろジョイの声がデカ過ぎて、リンネの唸り声すら聞こえない。

 猛猫の血をひくとは思えないくらいフレンドリーな仔猫たちは、近頃それぞれの個性が出てきた。



 ジョイ:食欲旺盛・食べ物にグイグイ迫る・声がデカイ・かまってちゃんのスリゴロ。


 ルスト:ケージの扉を開けると飛び出してきて、ひとり運動会を開催する。


 マイクル:茶トラ系トリオの中では比較的落ち着いている。生後3週で煮干しに食らいつく食欲。


 サンテ:ケージの格子をよく登る子、ニャンニャンゼミリーダー。


 ジョワ:みんなの中で一番大人しい。困り顔が可愛い。



 まだ性別は未確認だけど、サビ柄は三毛と同じでオスは突然変異でしか生まれないので多分ジョワは女の子、他はなんとなく男の子っぽいけど、まだ分からない。

 生後2ヶ月になったら母猫から離して、リンネの出産や育児による疲労を回復させる予定。

 その際に改めて性別を確認しよう。



「あ、ルストがまた飛び出した。……まっいっか」

「ンニャ~、ンニャン (帰ってらっしゃい)」


 トイレ容器を取り出す際に毎回飛び出すようになったルストは、リンネが呼んでもシカトして駆け回る。

 出てきたついでに小皿に入れた仔猫フードとちゅーるをあげるから、それが目当てでもあるのかな?

 保護部屋には電気コード等の危険物は無く、壊されそうな物も無い。

 ルストを【放牧】して猫トイレを掃除していると、トテトテと駆け寄ってきて隣に座り、覗き込んでくるのも可愛い。

 リンネから見えないところでコッソリ抱っこして、ナデナデするのが楽しみになった。

 他の子はケージから出てこないけど、リンネが背を向けている時に撫でているのは内緒だ。


「マイクル、凄いバランスだね」


 仔猫たちの中で最初に離乳の兆しを見せて煮干しにかぶりついたマイクルは、水の飲み方もワイルド。

 なぜそんな体勢で? って思ったのは、トイレ容器のフチを後ろ足指で掴み、前足はウォーターカップにつかまりながら水を飲んでいる姿。

 どうしてそうなった?

 ジョイやルストに比べるとドッシリ落ち着いた感があるマイクルは、ワイルドさが魅力になるかも?


「サンテ……なんかどっかの絵画みたいな顔になってるよ?」


 黒猫サンテは今日もひたすら格子を登る。

 なぜ登るのか? そこに格子があるから?

 格子の隙間に顔を突っ込んで、変顔になるのも日常茶飯事。

 そのせいでサンテの画像は大半が変顔になっている。


「トイレ掃除終わり……ってジョワ、早速御利用?」


 掃除を終えたトイレ容器をケージに戻すと、真っ先に入るのはジョワ。

 女の子だから掃除直後の綺麗なトイレがいいのかも。


「ちょっと床トレイ引き出すよ」

「カッ! (させるか!)」


 相変わらずケージに手を近付けるとパンチするのはリンネ。

 しかし、引き出した床トレイにゴハンを入れた長皿を置いて押し戻す際はパンチしない。


 このリンネが保護前はお腹見せて甘える猫だったという衝撃の過去については、島猫たちのエピソード「豹変する猫」をどうぞ。


※近況ノートの画像も見てね!

https://kakuyomu.jp/users/BIRD2023/news/16818093078276518888

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