第27話:寄ってくる仔猫たち
相変わらず猛烈パンチを浴びせてくるリンネ。
そんな狂暴母ちゃんから生まれたとは思えないほど、仔猫たちはおっとりしている。
御世話をしに行くと、仔猫たちがケージ入口に寄り集まってくるようになった。
かわいい。
しかしトイレ容器が取り出せず、とても困る!
「あ、サンテが出ちゃった」
「シャーッ! ウアーオ! (うちの子に何すんの!)」
「いやいや何もしてないよ? サンテが自分で出ただけだし」
「ウゥ~! カッ! (許さん! ブッ飛ばす!)」
猛猫大激怒!
この状態でサンテをケージに戻すには、どうすれば?
しばし頭を悩ませた後、サンテには悪いが皮手袋でサッと掴んで素早くケージの中に入れた。
続けて、リンネが飛びかかるより先にトイレ容器を取り出す。
掃除を終えたトイレ容器を入れるのも一苦労。
素早くやらないと飛びかかられるので、ほとんど投げ込むようにケージに置く。
その後、長い棒でトイレの位置を整えた。
まだ怒りまくるリンネには、そっとちゅーるを差し出してみる。
「はい、ちゅーる。これで機嫌を直してよ」
「シャーッ! アーオゥ~ (ふん! しょうがないわね)」
最近、我が家ではちゅーるが猛猫鎮静剤と化している。
器にちゅーるを入れて置いて、リンネが舐めている間にトイレ容器の出し入れができないか試したこともある。
残念ながら、リンネは好物を食べている最中でもケージの扉を開ければ飛びかかるので、トイレ掃除には役立たなかった。
猛烈パンチを食らいながらトイレ容器の出し入れをせずに済む方法はないだろうか?
今は両手に皮手袋を装備して、トイレ容器を盾にしながら出し入れしている。
たまにリンネのパンチが容器の底に当たり、砂が散らばったら窓拭きワイパーでかき寄せて片付けるのも、すっかり日常と化してしまった。
それほどの大激怒でも、作業を終えてちゅーるを差し出せば静まり、口を付けて食べるから不思議だ。
「キュー、キュー (ママ、それなぁに?)」
「キューウ~ (ちょうだい~)」
わらわらと集まる仔猫たち。
なにその可愛いの。
君たち猛猫遺伝子ないの?
それとも猛猫遺伝子覚醒前?
そのまま覚醒しないでスリゴロになってくれ。
仔猫たちが興味津々なので、三連小皿に仔猫用ちゅーるを入れて、ケージの床トレーを引き出してそこに置き、そっと押し込んでみた。
食べ物と認識しているからか、リンネはパンチしてこなかった。
「ウゥゥ~ウ~ッ (今日はちゅーる多いわね)」
「それ、チビたちにもあげてね」
リンネに言うまでもなく、興味津々だった仔猫たちは小皿を覗き込み、ちゅーるを舐め始めた。
大半はリンネが平らげたけど、チビたちもちゅーるの味見くらいは出来たっぽい。
次は離乳食でも置いてみようかな?
※サンテ脱走画像
https://kakuyomu.jp/users/BIRD2023/news/16818093077342751399
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