第25話:御近所のAさん考案品
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「これ作ってみたから、使ってみて」
灯油ポンプでは給水器のカップの水を吸引できないと話した翌日、Aさんが自作の吸引アイテムをくれた。
大きなシリンジにソフトビニールの管を取り付けた物。
渡されたときは管がもっと長く、使いやすい長さに切ってねと言われたので、格子の間から差し入れてカップの底まで届く程度の長さにカットした。
その際に先端を斜めに切るといいとのことで、切り口が斜めになるように切った。
ビニールの管だけだとグニャグニャして使いづらいので、Aさんのアドバイスに従い、割り箸を添え木代わりに取り付けている。
リンネが格子の間からパンチを放つとシリンジに届きそうなので、作業時は段ボールの板を格子に貼ろうかな?
「シャーッ! (今度はなに?!)」
「給水器のカップの水抜き道具だよ」
「ウゥゥ~ッ! ウアーオ! (次から次へと変な物持ってくんな!)」
「怒るな怒るな、ちょっと試させてよ」
新アイテムを手に保護部屋を訪れたら、リンネに不審者を見るような目で見られた。
リンネに文句を言われながら、実験開始。
「おっ、水を吸い出せた。1回では全部は吸い取れないけど、これいいかも」
使ってみると、シリンジいっぱいに水が満たされるくらい吸い取れた。
吸い取った水はタライに移して、2回目の吸い出し。
シリンジが大きいので、3回目にはカップ内の水はほぼ全て吸い出し終えている。
吸い出し終えたカップに水溜まりは無くなり、濡れているという程度になった。
あとは丸めたティッシュをトングでつまんで、カップを拭いて完了。
拭き取る水が少ないので、ティッシュから滴ることはなかった。
タライに入れた排水は、トイレ(人間用の)に捨てればOK。
「リンネ良かったね、また新たな猛猫対策グッズが増えたよ」
「ウアーウゥゥゥ~ッ! (早く片付けろ!)」
「はいはい、今片付けるから怒らないで」
給水器の掃除が終わると、リンネがケージ奥から進み出てきて、片方の前足を上げて威嚇する。
最近やるようになったそのポーズは、警告みたいなもののようだ。
睨む顔は怖いけど、仕草としては割と可愛い。
「リンネのそのポーズ、オスワリしてやったら招き猫みたいで可愛いかも。ちょっと座ってみてよ」
「シャーッ! カッ! (うるさい! 殴るぞ!)」
「うん、もうパンチ出てるよ」
リクエストしたら、全力で拒否されてしまった。
毎日欠かさず、今日もパンチが飛んでくる。
リンネを可愛く撮影するのは、まだまだ無理そう。
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