第24話:灯油ポンプを使ってみた
「給水器のカップの水抜きに、これ使ってみなよ」
と、御近所に住むAさんが持ってきてくれた品。
灯油ポンプ(新品・未使用)。
カップの中の水を捨てたいときに、役立つかも? って僕も考えた物だ。
10年くらい前、北海道に住んでいた頃は、石油ストーブのある家には必ず1つはあった灯油ポンプ。
ストーブなんて使わない石垣島に移住してからは、すっかりご無沙汰している。
使い方の記憶は、ほんのり残っているよ。
まっすぐな管が吸引側、蛇腹になってる管が排出側だった筈。
2つの管が繋がっている手押し部分をシュポシュポ数回プッシュすれば、自動的に水が吸い込まれて排出される。
吸引側に液体があれば、それが尽きるまで吸い込んで排出を続ける。
停止させるときは、ポンプについているツマミを回して空気を入れればOK。
貰ったポンプを持って、保護部屋へ行くと、お馴染みリンネが唸り声で出迎えてくれた。
「ウゥゥ~ッ! シャーッ! (まぁた変なの持ってきた!)」
「給水器の水抜きに使うポンプだよ」
「ウアーオゥゥゥ~ッ! カッ! (わけわからん物ケージに入れんなーっ!)」
「あ~、叩かないで、叩かないで、水がこぼれるよ」
ケージの格子の間から吸引側の管を差し入れた途端、リンネのパンチが飛んできた。
そんなに怒らなくてもいいのに。
叩かれるのでカップからはずれそうになりつつも、吸引テスト開始。
給水器の水タンク代わりのペットボトルは取り外してケージ脇に置いている。
ボコッと音がした途端、驚いたリンネがイカ耳になりながら後退した。
「あれれ? 吸い込んだ水が戻っちゃうぞ?」
ポンプは握ると水を吸い上げるものの、排出側までいかない。
吸い込んだ水は、吸水口から出てカップの中に戻ってしまった。
「ウゥゥゥ~! ウアーオ! (早くそいつを片付けろ!)」
ケージの奥で唸っているリンネがまた殴りにくる前に、ポンプを片付けてテスト終了。
手押し式の給油ポンプは、ポンプ内に空気が入っていると吸引口から排出口へ液体が移動しない。
カップの水は茶碗1杯程度なので、ポンプが正常な働きをするために必要な水の量が足りていなかった。
給水器に水タンクを付けたままにしても、ポンプ内を満たすにはちょっと足りないし、汚れてない水まで捨てるのは勿体ない。
『ポンプ使ってみたんですが、吸い込む水が足りなくて排水までいかなかったです』
『ポンプが大き過ぎたんだな。代わりの道具を明日持って行ってあげるよ』
ポンプをくれたAさんにLINEしたら、次の手はもう思いついている様子。
一体何を持ってきてくれるんだろう?
※灯油ポンプとリンネ母子 2024.5.8撮影
https://kakuyomu.jp/users/BIRD2023/news/16818093077051300474
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