伝承2 聖剣ルミエール

「聖なる武具に関する記述はそう多くはないし、その起源もはっきりしてはいない」


「確実に言えることは、ウルピノス帝が行方をくらました後、クライツ教が世界宗教となる過程で歴史の表舞台に登場したということだけだ」


「素材が特殊な物であるとか、製造者が魔術を駆使して製造したとか言う話も伝わってはいない。私(=著者)が知り合いの鍛冶屋に聖なる武具『と噂されているもの』を見てもらったところ、『何の変哲もない、どこにでもある一品だ』と返事があった。私は納得がいかなかったので、より詳細な調査を彼に要求した。私は工房の奥に入れられると、彼はくだんの剣を解体することを提案してきた」


「何か罰が当たるのではないか、という恐れもあった。しかし、好奇心の方が勝った私は提案を受け入れた。すぐに剣は複数の部品に変わった。そして、聖なる武具の正体が判明した。その秘密は剣の[以下数行欠損]。私は褒章を得るために、聖なる武具をフランチア王に献上した。


『素晴らしい。これをルミエールと名付けよう。太陽のように余の国を照らしてくれようぞ』


 国王陛下は大層お喜びになり、私に多額の金子きんすと立派な体躯の馬を与えてくださった。以降、私は陛下の命でフランチア王国の首都シルテの東にある区域の司教に任じられ、現在(本編開始時点から九百年前)に至るまで神への奉仕を続けている」


――『聖なる武具の発見とフランチアの繁栄』 ベルグ司教プラエトゥス


捕捉:プラエトゥスはその後、フランチア王に捕らえられ処刑されたことが判明して

   いる。「王を摩訶不思議な武具で殺した」罪によって。以降、聖なる武具に関

   する調査は進められ、合わせて王侯貴族もそれを探そうと躍起になった。己

   の支配権を強化するために。


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