第20話


 「なんでもっと自分の功績を主張しないんだよ!?せっかく気を回して兵を遅らせたのに」


 ウォレンが僕に説教してくる。


 「わざと遅れてたのか。何かあったらどうするつもりだったんだ?それに、元より主張する気は無いよ。何だか知らないけどリオン様は僕の事が嫌いみたいだし」


 面倒臭そうに答えた。


 謁見が終わり、拠点への帰り道をウォレンと歩いていた。


 「それだって例の事件が元だろ?無罪だったんだし軍に戻れよ」

 「戻れって……。そりゃ、無理だよ」

 「んなことはねぇよ。お前の力を腐らせておくのはもったいない」

 「……そういうのは、もういいんだ。それに僕は戦闘向きの性格じゃない」

 「そうは思えないけどな……。それに、戦闘じゃなくても活かせるんじゃないか?その魔力」

 「……僕もそう思ったよ。ただ、それを学ぶ権利を得られなかった事はウォレンだって知っているだろ?」

 「……あっ、あぁ。……そうか、すまない。ただ…………少し変わったな……いや、戻っただけなのか?」

 「さぁ……ね?色々と面倒臭くなっただけだよ」


 その後、僕等は口を閉ざした。



  ◇  ◇  ◇



 かくして、ガルブ勇者捕獲作戦は幕を閉じ、中央軍や親衛隊は王都へ帰還した。

 大方の読み通り、殆どの兵は移動しただけの無駄足で終わった。


 勇者に逃げられるという最悪の事態は回避できた為、ギリギリ面子は保てている……のか?

 手柄は僕等を無視し、リオン親衛隊と中央軍、そして自治軍の功績という形になった。

 そこに異論は無い、むしろ好都合。

 僕の懸念は別の所にある。


 僕は来た時と同じ様に雑兵と共に馬車で移動。

 王女達は快適に竜車で移動。


 勇者と遭遇した時以降、王女とはまともな会話が出来ていない。

 果たして王女はあの時の言葉をどう捉えているのだろうか?

 そして、今後どう接すれば良いのだろうか?


 僕の悩みは今、そこにある。

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