977
代金を支払うと、君達は神殿の一室で待たされる。いつもの部屋で待っていると、やはり大神官のナターシャが来た。
彼女は無言で治療に入る。
・君とスターアローの【戦闘力】と【生命力】を最大値まで回復させること。
「相変わらずのお手並みだな。全快したんだからイッパツ張り切ってくるとするか」
スターアローが愛想よく言うと、ナターシャは無表情のまま応えた。
「無理はなさらずに。正直、もう期待はしていません」
彼女は静かに部屋を出ていった。
神官に出口へと案内されながら、スターアローは愚痴る。
「すっかり無能扱いだな。他の冒険者がそろそろ
「いえ。帰ってくるだけあなた達はマシな方です。低価格での治療という形で援助はしていますが、それも戻ってくればの話。回復魔法があっても、人は死ぬ時は死にますからね」
そう言って神官は廊下の窓から外を見た。そこには神殿に併設された霊園があり、誰かの葬儀が行われていた。喪服に身を包んだ参列者達が涙にくれている。
教団の神殿で手当てしてもらえると言っても神殿までは来なければならない。またケガや病気を治しても、年齢などの問題で衰弱していればそのまま死ぬ事も珍しくない。
霊園は広く大きい‥‥治療の街だからこそ、多くの人が死ぬ街でもあるのだ。
神妙な面持ちで、神官は神殿を出る君達を見送った。
https://kakuyomu.jp/works/16818093075655425577/episodes/16818093075665728592
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます