974

 代金を支払うと、君達は神殿の一室で待たされる。前と同じ部屋で待っていると、今回も大神官のナターシャが来た。

「苦戦しているようですね。あの樹海がいかに危険か、理解しましたか?」

「まぁ‥‥歯応えはあるぜ」

 ちょっと苦くスターアローが言うと、ナターシャは治療にとりかかった。今回も回復の魔術で君達の負傷をあっさりと治してしまう。


・君とスターアローの【戦闘力】と【生命力】を最大値まで回復させること。


 治療が終わり、ナターシャは部屋を出ていく‥‥はずが、出口で目頭を抑えてよろめいた。

 君は咄嗟に手を伸ばして彼女を受け止める。数秒、君の腕の中で呆然とし――ナターシャは慌てて君から離れた。

「足を滑らせましたね。失礼」

 そう言って取り繕うと、急ぎ部屋から立ち去って行った。


 神官に出口へと案内されながら、スターアローは呟いた。

「大神官どのはお疲れなんじゃないか?」

「毎日、最も多くの患者を担当されますからね。我々も進言はしているのですが、体調管理はしている‥‥の一点張りで」

 そう言って神官は溜息をつきつつ、神殿を出る君達を見送った。

https://kakuyomu.jp/works/16818093075655425577/episodes/16818093075665728592

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る