178

「いや、俺にどうしろって言うんだよ?」

 君の選択に抗議するスターアロー。

 しかしその声を聞き、女性は「まぁ!」と顔を輝かせる。

天馬ペガサス自体はじめて見るけど、その子、人の言葉が話せるのね!」


 彼女は大急ぎで岸にあがった。彼女が置いていた服と鎧を身に着け、腰に剣を帯びる。

 そしてスターアローに駆け寄り、嬉しそうに首を撫でさする。

「うーん、素敵ねぇ‥‥ちょっと乗せてもらっちゃいけないかな?」

 君は「どうぞ」と勧め、馬上から降りた。入れ替わりに女性は喜色満面でスターアローに跨る。

「おいおい‥‥こういうのはユニコーンの連中にでもやらせておけよ」

 溜息混じりにそう言いはしたが、スターアローは翼を広げて空へ飛び立った。


 しばらく湖の上を遊覧飛行するスターアロー。

 その背で女性は実に楽しそうにはしゃいでいた。

 やがて岸に戻り「じゃあここまでな」とスターアローが言うと、女性は名残惜しそうに降りてから、馬の首にほおずりする。

「いいなぁ‥‥私もこんな友達が欲しいなぁ」


 こうして女性の友好を得る事には成功した。やはり持つべき者は友である。

https://kakuyomu.jp/works/16818093075655425577/episodes/16818093076607778925

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る