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 君達が中央の塔に飛ぶと、塔の中ほどにある大きな扉が開く。空からの客を迎える門が用意されているのも珍しい!

 君達は門を潜って中にはいった。そこは大きな部屋で、中央に紫のローブの魔術師がいる。


 長い髪の端正な顔立ちをした青年に見えるが、ローブの襟も被っているアカデミックハットもやけに大きく、肌が覗いているのは顔とその周辺、手首より先だけだ。

 彼は礼儀正しく一礼した。

命華草ライフグラスを見つけた暁には、こちらへ譲っていただけるとか。という事は、こちらがそれを手助けする事を期待されていますね?」

(挿絵)

https://kakuyomu.jp/users/matutomoken/news/16818093077630726658


「お見通しか。こりゃ一筋縄じゃいかなさそうだぜ」

 半ば呆れ、半ば警戒し、スターアローが君に言う。


 だが魔術師は落ち着いた笑みを浮かべた。

「ご心配はいりません。貴方達が考えている事は取引としておかしな事ではないのですから。そして実際に、我々はあの貴重な秘宝が欲しいと思っています」

 それを認めた上で彼は切りだす。

「あの生命の薬草があれば、今ちまたで流通している治療の霊薬を数段上回る物を造る事ができるでしょう。もしかしたら――死者を蘇生させる物さえ。我々に命華草ライフグラスを譲ってくだされば、新たに生まれる霊薬や回復の魔術道具による利益を毎年1%‥‥それらを輸送する商隊の護衛に必ず貴方達を雇い、護衛料は別に支払う事も約束しましょう」


 なんと未来に渡っての定期の取引が報酬である。

 今まで数々の冒険を成功させてきた君だが、こんな支払い方を申し出る者は無かった。


 この都市を取引相手に選ぶなら――

https://kakuyomu.jp/works/16818093075655425577/episodes/16818093075656530504


 気が進まないなら破談にする事もできる。

https://kakuyomu.jp/works/16818093075655425577/episodes/16818093075655676103

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