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 君がスターアローと共にいる事を望んだので、案内されたのは城内の中庭。奇麗な薔薇の花壇のすぐ側だった。

 そこにやってきたのは豪華なローブを纏った大臣。

 しかし着物や恰幅の良い体型とは裏腹に、顔色は悪く、髪は薄い。

 彼は期待の籠った視線を君に向けた。


「貴殿の名を聞いた事がある者が、城にも何人かいてな。少々相談したが、話をまとめようと思ったのだ」

 そこで表情に陰がさす。

「王は‥‥今、話ができる状態に無い。今、病に伏せられている。もちろん城にも、医療担当の魔術師はいるが‥‥お歳を召しておられるので、もはや魔術でも気休めにしかならんのだ」

 彼は深い溜息をついた。

「難儀な事に、後継者候補の王子は二人。しかも双子。そして犬猿の仲とくる。不味い事に、後継者問題をはっきりさせようとした矢先の病で、つまり次の王はどちらとまだ指名されておらん」

 そして言葉に熱がこもる。

「伝説の秘法なら、並の魔術では無理な事でも期待できよう。最悪、後継者問題が白黒つくまでの延命にさえなれば病が完治しなくとも良い」


「その発言は許されるのか? 大臣さんよ」

 呆れて思わず無礼な口調でもらすスターアロー。


 だが大臣は怒りもしない。

 その頭から、髪がはらりと一本抜けた。頭頂部付近は既に手遅れの状態だ。

「そのぐらい困っておるのだ。命華草ライフグラスを私に渡せば、この国の村か街からどこか一つ、報酬として与えよう」


 この国を取引相手にすれば、成功の暁には放浪生活も終わり、晴れて地主となれるわけだ。低い物なら爵位も得られるかもしれない。


「この国にも騎士達はいると思うが、彼らは命華草ライフグラスを探しに行かないのかい?」

 スターアローが訊いてみると、大臣は肩を落とした。

「向かった者もいるが‥‥いや、まぁ、探索する者が多いに越した事はないだろう」

 答えの歯切れが少し悪いのが気にならない事もないが、これについて大臣はそれ以上話そうとはしなかった。


 この国を取引相手に選ぶなら――

https://kakuyomu.jp/works/16818093075655425577/episodes/16818093075655902754


 気が進まないなら破談にする事もできる。

https://kakuyomu.jp/works/16818093075655425577/episodes/16818093075655676103

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