第1話 10年後 2
ヨルンとジェラルド、部屋から飛び出した二人が廊下をかける。二人の足が木造の廊下を踏みつけるたびに、ギシギシと木材が悲鳴をあげている。
「おい! 早くしないと無くなっちまうぞ」
吐き捨てるように叫ぶヨルン。
「うるせー お前が寝坊するせいだろうが」
息を荒げながら返答するジェラルド。
二人は素早く階段をおり、一番手前の扉を激突するようにして開けた。
中には、テーブルがいくつもありたくさんの人が談笑したり、食事したりしている。喧噪の中二人はテーブルや人の間を縫うようにして、部屋の一番奥のカウンターへ進む。カウンターには若い女中がおり、忙しそうに空いた食器の片づけをしている。
ヨルンとジェラルドはその女中の前でぴたりと止まると、同時に
「「朝飯は!?」」
女中は少し申し訳なさそうに笑う。
「今日はもう売り切れよ…」
やっぱりかと、ため息をつき肩を落とす二人。
「じゃあ、水だけもらうよ」
とヨルンが言うと、女中は慣れた様子でカップを二人分差し出す。差し出された水を一気に飲み干し、二人はその部屋から出ていった。
魔女の虜囚 小鳩 @kannatsukio
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