第7話 凶器的
御者改めアテナと別れた俺は、学園側の人間が来るまで特にすることのなかったため、永遠と腕立て伏せをしていた。腕立て伏せを選んだのは、アテナのような制圧力を得るには、まだまだ腕力が足りないと思ったからだ。
十数分経ってやっと校舎のある方からこちらへ歩いてくる人影が見えた。流石に簡単な筋トレとはいえ、10分もやれば汗をかいてしまったな。寮に荷物を置いたらすぐに風呂に入りたいな。
「お待たせしました~」
だいぶ待たされたにもかかわらず、反省しているとは思えない間延びした声にイラッとしたが、その姿を見て苛立ちはすぐに引っ込んだ。
小走りでこちらにやってくるのは、この学園の制服を着ているが、発達しすぎたとある部分がはちきれんばかりに揺れていて、10代半ばとは思えない女子生徒だ。そのとある部分のおかげで苛立ちがどっかに飛んで行った、それどころか幸福感に包まれているような感覚だった。
「あなたの案内を担当することになった2年のヘスティアです。分からないことがあればどんどん聞いてください!!」
全ての動きが大げさなヘスティアはお辞儀も大げさだった。深々と腰を折り曲げた彼女のとある一部分は"ぶるん"という音が聞こえてきたと錯覚するほど激しく揺れた。二度目だったから目線を引っ張られずに済んだが、本音を言えば凝視したかった。
「ふぅ……よろしくお願いします」
一息ついてから挨拶をしないと顔が緩むと思っていたが、一息ついても若干だが頬が緩んでしまった。早く表情を硬くしないとキモがられてしまう……ヘスティアの顔を見続けることで緩んだ顔は治ったが、顔を見続ける弊害も生まれてしまった。
「そんなに顔を凝視されると恥ずかしいですぅ」
「す、すいません」
指摘されたから慌てて目線を下に向けると二つのメロンがあった。自分の頬が緩んでいくのを感じたため、一度彼女の顔を見てから首元に目線を固定した。
「じゃあ案内していきますね」
「お願いします」
ヘスティアに連れられて湖に掛かる大きな橋を渡っているが、巨大な校舎に近づくほど遠近感がバグったように感じるな。
「ここの校舎って、すごい大きいですよね」
「そうですよ。私はもう2年生なのにたまに迷子になっちゃいますもん」
この先輩大丈夫か?と思ったが、これだけ広ければ迷子になることもあるかと思うことにした。こんなところで先輩の威厳を崩したくなかったから、この思いは自分の心の中に仕舞っておくことにした。
「2年生になっても迷子になるのは私くらいなんです」
「そ、そうなんですね」
せっかく威厳を保とうとしたのに、ヘスティア自身が崩しやがった。もう彼女のことを可愛い先輩としか思えなくなってしまった。まあ一部分は可愛げがなくて凶器的なんだがな。
「そういえば先輩なんですから敬語は止めてください」
「むっ、それもそうだね。じゃあよろしくランス君!」
自己紹介をしていないのになぜ名前をしているのか疑問に思ったが、学園から派遣されている以上、事前情報をもらっているのかと納得することにした。
「世間話はこれくらいにして寮に向かうよ」
少し小走り気味になったヘスティアを追うため俺も大股で歩くことにした。そう彼女の小走りは俺が大股で歩くのと変わらないほどちょこちょこしているのだ。さらに可愛らしい一面を見つけてしまった。まあ一部分はかわい(略
「ここが国立異能学園1年男子寮だよ!!」
目の前にそびえる寮は、1年生40名が全員が男子生徒だったとしても広すぎる建物だった。寮は入口から規格外のサイズで、特殊な異能持ちにも配慮されていることが分かるな。目の前にいる彼女も一部分が規格が(略
「じゃあ中も案内していこうかな」
「男子寮なのにヘスティア先輩は入っていいんですか?」
「案内係だからね。ちゃんと許可はもらっているよ」
"チッチッチッ"と口をながら、人差し指を左右に揺らす彼女は実年齢にしては幼く、可愛らしかった。まあいちぶb(略
「とりあえず僕の部屋に案内してもらってもいいですか? 流石に荷物をずっと持ち続けるのは大変なので」
「そうだね。じゃあランス君の部屋へとレッツゥゥゥゴー!!!」
「ゴー」
僕の手を取って天へと拳を突き上げた彼女はやはり可愛らしかった。ただ、その際揺れた一部分はやはり可愛くなかった。
異能が日常となった世界で異能を持たない俺は拳で抵抗する Umi @uminarou
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