第27話 新しい発見
これまで大型モンスターが潜んでいて足を踏み入れられなかった島の奥地――新たに加わったアカツキと一緒に未知の場所を目指して進んでいった。
「何があるか分かりませんから、注意していきましょう」
「そうだな」
島の男たちも同行し、歩を進めていく。
やがて、俺たちの前に泉が現れた。
「こんなところに泉が……」
ひとりの島民が何気なく近づいていこうとしたが、俺はそれを止めた。
「無闇に近づくのは危険だ。水を求めて近づいてきた者を襲って捕食するモンスターが潜んでいるかもしれない」
「えっ!?」
島民は大慌てで回れ右をし、そのまま駆けだす。
こういう時のために、ある道具を付与効果で強化してきたのだ。
「モンスターがいるかどうかはこいつを使って調べます」
「そ、それでか?」
オデルゴさんが驚くのも無理はない。
俺が取りだしたのはただのベル。
さすがに他の島民たちも首を傾げだしたので説明を始めた。
「近くにモンスターがいれば、ベルがその気配を察知して自動的に鳴る仕組みだ」
「なるほどねぇ」
感心したように呟きながらベルを凝視する島民たち。
本当ならその効果を披露したいところではあるが、やはりあの猪型モンスターの近くには別のモンスターはいないようだ。
ちなみに、アカツキにはまったく反応を示さない。
これは彼が妖獣というモンスターとは全く別の種族だったため。
ただ、今後の可能性として妖獣用のベルも用意しておくべきかな。
少し休憩を挟んでから、再び探索を開始。
村からそれほど離れていない位置に泉があったので、ここをキャンプ地としてテントを設営し、探索の拠点にしようと決定。
それからはなるべく拠点を離れないよう、近場での探索が始まった。
「まだ島の面積からすると半分にも到達していないんだよなぁ……」
まだまだ調査は始まったばかりとはいえ、改めてこの島の大きさを認識する。
いや、平均的な島のサイズからすると小さいのだろうけど、やはり人が歩いて調べようとするには大きすぎるな。
とはいえ、期限があるわけでもないし、ゆったりまったり時間をかけつつも慎重に調べていけば――
「た、大変だあああ!」
どうやらその余裕はなさそうな事態が発生したらしい。
「どうした、ウルグ!」
血相を変えて駆けてきた若い島民にオデルゴさんが声をかける。
「あ、あっちに……変な石があるんだ!」
「変な石? どんな石だ?」
「う、うまく口では説明できないんだけど、とにかくこう嫌な感じがするんだ。紫色に発光していて気味が悪いし」
「紫色に発光?」
あれ?
それってもしかして――お宝じゃないか?
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