第26話 島の探索
新たにアカツキが加わり、島の生活は賑やかさを増した。
「うーん……今日もいい天気だ!」
軽く伸びをしつつ、ティノと一緒に畑の手入れ。
それから朝食を済ませるとティノを島の学校へ送り届けた。
ここまでは最近のルーティーン。
――ただ、ここからいつものように海へ食材の調達へ出ようとした際、同じく学校へ子どもを送り届けたオデルゴさんに呼び止められる。
「ジャック、ちょっといいか?」
「なんですか、オデルゴさん」
「実はこれから森へ入ろうと思ってな。できたら君にも同行してもらいたいんだ」
「森へ……ですか?」
例の猪型モンスターを撃退し、アカツキと和解した今、島民たちの関心は島の内部へと向けられていた。かつて、島民たちの活動範囲は今よりもずっと広く、食材や行商人と交換するアイテムに関してもバリエーションが豊富にあったらしい。
今回の件で脅威が去り、さらにアカツキも協力を申し出ていることからすぐにでも詳しい調査がしたいとオデルゴさんは語っていた。
これは彼ら島民だけの意見ではなく、エミリーお嬢様も同じ気持ちだった。
まあ、彼女の場合は純粋な好奇心というのもあるのだろうが……ハドルストン家としても見過ごせない案件なのだろう。
というわけで、俺の答えとしては――
「俺でよければ協力しますよ」
「本当か! いや助かるよ!」
なんだかんだ言って、俺も純粋にこの島の全貌が気になっていたんだ。アカツキの話では昔の島民たちは島の中心部で何やら採掘をしていたみたいだし、物によってはこれまでとは違った形で商売ができるかもしれない。
それが現実味を帯びてくれば、ハドルストン家も放ってはおかないだろうな。
今回の探索にはアカツキも同行するが、それでも細心の注意を払うため最低限の武装は必要だと告げておいた。
今暮らしている者の中で、森の奥へ入った島民はいない。
彼らにとっても未踏の地というわけだ。
何が潜んでいるか、分かったものじゃない。
「しかし、こうしてみるとダンジョン探索みたいだな」
「ダンジョン? なんだ、それは」
「えぇっと……まあ、危険はあるけどお宝が眠っているかもしれない場所、かな。大陸にはいくつかあるんだ」
「なるほど。それなら確かにこの島はダンジョンだな」
多少意味合いは違うのだろうけど……細かいことはいいか。
この島に眠っているかもしれないお宝を拝めればいいのだけれど。
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