第22話 討伐完了

 島の人たちを恐怖のどん底に陥れていた猪型のモンスターは無事討伐できた。

 それを知らせるため、俺は一度屋敷へ戻ることにした。


「アカツキ、おまえも一緒に来るか?」

「いや、俺はここで待とう。いきなり俺みたいなデカいのが行っては、島の者たちも驚くだろう」


 そういう配慮ができるとは……やはり彼は普通のモンスターとは何もかもが異なる。もう少し落ち着いたら、いろいろと詳しい話を聞きたいものだ。


「分かったよ。みんなに報告を終えたら必ずまた戻ってくるよ」

「ああ。ならば俺はここで猪を見張っていよう」

「頼むよ」


 せっかく仕留めた大物だ。他の動物に横取りされるわけにはいかない。うまくさばけば宴会のメイン料理になれるからな。

 俺はアカツキに別れを告げると帰路に就く。

 それにしても……まさかこんな展開になるなんてな。

 でも、これで島に暮らす人々の不安は解消された。これまで、あの猪型モンスターが邪魔になって活動範囲が限られていたけど、これで島全体を大きく活用することができる。

それに新しくアカツキという頼もしい仲間が増えた。

 彼は人間に対して好意的だった。

 猪型モンスターに襲われていたら手助けしてくれたし、島民たちにも関心があるようだ。しかし、その島民たちはアカツキを誤解していた。猪型モンスターのやっていたことをアカツキの仕業と誤った認識をしていたのだ。


 だが、それもこれで終わる。

 エミリー様たちに真実を伝えれば、きっと迎え入れてくれるはずだ。


 森を抜けると、すぐに屋敷が視界に入る。

 その勢いのまま、門番たちに事情を説明――すると、彼らは大慌てで屋敷へと走り込んでいった。入れ替わるように、庭の手入れをしていたダバラさんがやってくる。


「随分と血相を変えて、どうかされましたか?」

「実は――」


 ここまでの経緯を説明すると、さすがのダバラさんはビックリしていた。彼自身、直接アカツキの姿を見たわけではないのだが、目撃した島民たちから聞いたイメージとかけ離れていると驚きを隠せないでいた。


「にわかには信じられませんな……い、いえ、ジャック様の言葉を信じていないというわけでは――」

「大丈夫ですよ。俺自身、まさかこんなことになるなんて思ってもいませんでしたから」


 どうやら、島民たちの間に根付いているアカツキのイメージは俺が想像しているよりずっと悪いようだな。

 アカツキを受け入れてくれるかどうか不安になってきたぞ。

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