第10話 ※脚注:志那乃に寄せる和歌一首

※以下脚注的和歌一首:葵の花言葉に添える拙歌一首。


「お泥土に咲くもいとしき水蓮と思いしゃんすな知るや花言葉」by 多谷昇太


 この拙歌の歌意はなんでしょうか?蓮の花言葉は「清らかな心」「神聖」「沈着」など好もしいものばかりですが意外や1つ2つ伏意も含めて異なるものがあります。それは「離れ行く愛」と「不吉」です。前者は蓮の花が4日間くらいしか咲かずすぐに散ってしまうのですが、その際、1枚2枚と散り行く様が恋人の心が徐々に離れて行くのに似て、斯く花言葉となったのだとか。後者はこれは日本ならではでしょうが、蓮は仏教の象徴なので仏事専用となり、つまり「不吉」になったのだと云われます…。

 蓮は清水に咲くよりも汚泥に咲いた方が花は大輪になるそうです。果して華の芸妓界とは云え水商売には違いない世界に生きる志那乃は、その美しさを以ってこの先後者側の花言葉を向一にもたらすことになるのでしょうか…?しかし話はまだまだそこまで話は行ってません、さあ、この先の展開は…?

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