第5話 クロスカッティング・異なる場所の連写
運転手「次は栄町二丁目…お降りの方いまへんか?」
客男(60位)「おい、運ちゃん!ブザー鳴らへんで。わし、次降りるで」
運転手「え?鳴らへん?……すんまへん、次停まります」
バス停で停めて客を降ろしたあと運転手が向一に振り向き話しかける。
運転手「お客はん、すんまへん、ちょっとブザー鳴らしてくれまへんか?」
向一「(ボタンを押してから)点灯はするけど、ブザーは鳴らないみたいですね」
運転手「そうでっか。おかしいな、壊れてんのかな。(客全員に大声で)すんまへん!ブザー鳴らへんさかい、降りる方は声かけたってください!」
バス発車する。
運転手「(つぶやき声で)東京の人か。道理で気品があると思ったわ……それに比べて大阪の人間はえげつのうて……」
大阪駅に向かってバスが走って行く。
〇奈良市内・某葬儀所の中
葬式が行われている。畳に正座する喪服姿の人たちの膝元。その前を焼香に向かう人たちの足元を映す。いっさい無音。
〇大阪阪急駅前ビル内部
阪急駅前ビル内部の豪華さに圧倒されながらあたりを歩きまわる向一。改札口がわからずあっちこっちをうろつき廻る。近くのキオスクにいる売り子2人がその様子を面白がる。
売り子A(25位)「(口に手を当てて)あの人、さっきから行ったり来たりしちょる。いったい何してはんのやろ?」
売り子B「おおかた改札口がわからへんのや。もしお上りさんやったら、こない阪急何番街とか表示された、ビルの豪華さに気ぃつぶされてんのや」
売り子A「お上りさんちゃうで。東京のぼんぼんに見える。もしそないやったら、やたらウロチョロせんと、うちらに尋ねればいいのに……」
売り子A、売り子B「……ねえ!!」
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