第6話 掃除婦のお尻
その声を聞いて恥ずかしくなった向一が闇雲にビルの奥へと入って行く。いつの間にか従業員フロアへと迷い込む。一室のドアが半開きになっていた。用務員室とか思った向一が回り込んで改札口を尋ねようとする。中には中年の掃除婦2人がいてうち1人がズボンを腰の下までさげて上着の裾の乱れを直そうとしていた。白い大きなお尻がまともに向一の眼中に入る。あわてて元来た方へと戻って行く向一。
掃除婦A「しもうた。見られてもうた…なんでこない所に入って来んのやろ」
掃除婦B「早う追っ掛けてって金もろうて来んね」
掃除婦A、掃除婦B」「(笑い)」
〇私鉄電車内
腰掛けている向一。車内はそれほど混んではいない。東京と違って見知らぬ客同士で会話を始める光景に驚く向一。駅に停車してにぎやかな男女の一団が乗り込んで来る。
男A(25位)「ほら見てみい、空いとるで。これで正解や。元旦なんぞにお参りしとったら大変やったぞ。(連れ合いの女に)そっち座れ」
男B(25位)「お前もそっちや。晴れ着着た女同士で並んで見せえや。べべ皺にせんようにな」
女B(23位)「わかっとるがな。自分こそ一張羅の羽織と袴、しわにすんなや」
女A(23位)「(女Bに)もっと右寄って。こない空いとるのになんで詰めなあかんのや。(男Bに)なにが並べや。うちら雛人形とちゃうで……(はす向かいに座る向一に目をやって)あら?」
女B「なんね、どないしたん?」
女A「(向一を指差して、小声で)ちょっと、見てみぃ、あれ」
女B「あらー、ほんまや。いい男やなあ…」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます