第30話 作戦会議
俺達は受付機器を一度操作し、情報を得ることに決める。受付機器にはミニゲームのルールと報酬のことが書かれていた。
ルール
・闘技場内のモンスターを全て倒すこと
・失敗した場合、再挑戦出来るのは一週間後
・挑戦人数は最大二人
・一度クリアしたプレイヤーは二度と挑戦出来ない
報酬
・【癒しの指輪】
「癒しの指輪ってどんなスキルが付与されてるんだろうね」
「ん~、名前的には体力を回復するとか状態異常を回復するとかだと思うけど」
「どっちにしても私達は装飾品あと一つ装備できるから強化は出来るね」
「え! カエデ達って装飾品持ってるの!?」
メイが驚いたのか大声で聞いてくる。俺達の装備している【共鳴の青雫】はバルバロイ三世から貰ったものだ。メイ達もボスまで到達してるなら持ってると思っていたが、なぜか持っていないらしい。
「ああ、共鳴の青雫ってイヤリングだ」
そう言って俺は右耳を、カエデは左耳を見せる。
「お、お揃いなんですね」
「気づかなかったわ……やっぱり付き合ってるんじゃないの?」
「違うって言っただろ! これは二人セットの装備だから仕方なくだよ!」
「へぇ~、カズト君は仕方なく付けてるんだね~」
少し顔をしかめたカエデが脇腹を小突いてくる。確かに言い方は悪かったかもしれないけど、付き合ってると勘違いされるよりは良いはずなのに……。
「それより何でメイ達は持ってないんだ? バルバロイ三世から貰わなかったのか?」
「バルバロイ三世ってローデンブルグの王様よね? 王様って会えるの!?」
「ダンジョンのマッピング情報とか城の兵士に渡せば会えるぞ」
「知らなかったわ、初めてお城に行った時冷たく追い返されちゃったのよね……」
「お店で素材は売っちゃってたもんね……」
落ち込むメイとスズを元気づけるようにカエデが言葉をかける。
「多分まだ間に合うよ! ミニゲーム終わったらお城に行ってみて!」
俺も励まし役に参加し、二人を元気づける。二人の元気が戻ったところで、今日の目的であるミニゲームについての作戦会議を再開する。
「バフを受けたラン・ウルフが五体もいるのが厄介だよなぁ」
「見た感じ倍以上は強くなってるよね~」
先ほどから何組かの挑戦者がミニゲームに挑んでいるが、どの組もラン・ウルフロードが出てきた瞬間に瞬殺されている。やはりバフを受けたラン・ウルフは今の俺達のレベル帯では倒せそうもない。
「一つだけ作戦を思いついたんだけど……というかこれしかないというか」
「ほんとに!?」
「ほんとですか!?」
メイとスズが目をキラキラさせて俺の作戦を聞く体制を作った。カエデは先日のダンジョンでの体験を思い出したのか、少し顔を赤くさせている。
「バフを受けたラン・ウルフ達は恐らく倒せない、レベルが30とか40じゃない限りな。となるとバフを受ける前に倒すしかない」
「それが出来ないからみんな苦労してるんじゃない」
「俺がちょっと前に取ったサークルエフェクトっていう範囲攻撃スキルがあれば出来るんだよ、多分な」
「なにそれ!? そんなの私も剣士だけど覚えてないわよ! それにスズの魔術師のスキルにも範囲攻撃スキルなんて無いわ」
「俺もこの前覚えたばかりだからレベルが足りないんじゃないか? カエデは俺とスキルツリーの育て方が違うから持ってないんだけどな」
「ずるいわよカズト」
「でもそれでどうやってバフを受ける前に全部倒すんですか?」
スズが興味深そうに問いかけてきた。
「単純だよ、一発スキル当てたら倒せるってところまで十体全部の体力を削るんだ。そしたらサークルエフェクトでまとめて葬る、バフを受ける前のランウルフはかなり弱いからこれで行けるはずだ」
「一人で十体からヘイトを引き受けるの? 流石に一人じゃ厳しいと思うんだけど……」
「いやいや、カエデと五体ずつくらいで分担するよ」
「で、でもそしたらカエデさんの五体は倒せないんじゃ……」
「そこは俺とカエデのコンビネーションで上手くやるから大丈夫だよ。な? カエデ?」
「はあ~また無茶する気でしょカズト君、すーぐ調子乗るんだから」
カエデは呆れたような仕草をしたが、俺の作戦には乗ってくれるようだ。軽くカエデと作戦会議をして俺達は闘技場の入り口へ向かう。
「カズト! かっこいいとこ見せてよ。カエデ! 頑張ってね」
「カズトさん、カエデさん頑張ってください!」
「ああ、期待しててくれ」
「頑張ってくるね、メイちゃんスズちゃん」
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