第14話 王様からの報酬
ダンジョンから帰還した俺達は、ローデンブルグの最北端にある、ローデンブルグ城に足を運んでいた。
「今回はかなり成果を挙げたからな、バルバロイ三世からの報酬も期待できそうだ」
「そうね、早速行きましょ」
ダンジョンで得た成果は、城内のギルドに持ち込むことで、成果に応じた報酬を得られるようになっている。
今まで得た報酬は
「本日のダンジョン攻略の成果です」
そう言ってギルドの受付兵士に情報を提供する。兵士は驚いた顔で言った。
「し、信じられない。この情報は真実なのか?」
「もちろんです。マッピング情報の
「確かにそうだな。報酬についてだが、私だけではこの情報の価値を決定することが出来ない。上層部との相談の上、報酬を決定するということで良いか?」
「もちろんです、よろしくお願いします」
「では、明日の十三時頃にこの場所に来るように」
それだけ言うと、受付の兵士は奥に引っ込んで行った。
「期待通りの結果になりそうだな」
予想通りの展開ににやっと笑いながらカエデを見る。
「明日が楽しみね」
カエデもにやっと笑って答える。俺達は明日に備えるため、すぐ宿に帰って休むことにした。
翌日の十三時、ギルドの受付に到着した俺たちを出迎えてくれたのは昨日の兵士だった。
「お待ちしておりました。
いつものフランクな言葉ではなく、やけに丁寧な言葉で対応される。国王に呼ばれるほどの成果を納めた俺達に対する礼儀だろうか。特に気にする必要もないだろうと、言われるがままに着いていく。
階段を少し登ると、豪華に
「くれぐれも
そう念押されると、豪華な扉が開き始めた。
「陛下、先日ダンジョン内の扉を発見した者達を連れて参りました。」
「うむ、ご苦労。下がって良いぞ」
「はっ!」
扉が閉まり、部屋の中には三人だけが残された。
これまた豪華に装飾された椅子に座っている国王・バルバロイ三世は、白い髪と白い
「君達がたった二人でダンジョン内の扉へ到達したというのは事実かね?」
「はい、事実です。」
「なぜそんな危険を
「ダンジョンの最奥部に存在すると言われている、ボスモンスターを討伐するためです」
「……やはりそうか」
バルバロイ三世はどこか納得したような、複雑な感情が混ざった表情でつぶやく。少しの間沈黙が続いたが、意を決するような表情をすると口を開く。
「今から話すことは口外禁止とする。
「英雄達の名にかけて」
少しカッコつけすぎたかなと思ったが、この状況には
「誓います」
すごく普通だった。それよりも、笑い声を我慢しているような声だったのは気のせいだと思いたい。
「良かろう」
バルバロイ三世はそう言うと、話し始めた。
「今からおよそ30年ほど前になる。
(その犠牲のおかげで今はダンジョンの奥には進まないという暗黙の了解が出来たのか? でもそれだけで冒険者がダンジョン攻略を諦めるとは思えないが……)
「当時の儂は
(冒険者に財宝を取られる前に取ってやろうってことか。まあ良くある話だろう)
「隊長である一人息子には、国の宝である宝剣を持たせ準備を整えた。そしてダンジョン攻略が始まった。定期的にメッセージで状況を教えるように言っていたのじゃが、三割ほどダンジョン内を進んだという報告の後、パタリとメッセージが来なくなったんじゃ」
バルバロイは少し目を伏せて、悲しげな表情を見せた。
「次にメッセージが来たのは一時間後じゃった。メッセージにはこう記されていた。目の前に扉があるということ、そして部隊は儂の息子一人を残して全滅したということ。帰ってこいと伝えたが、返事はなかった。そしてその二時間後、息子から最後のメッセージが届いた。それがこれじゃ」
そう言うと、バルバロイ三世はメッセージを見せてくれた。
(『宝はなかった、最奥部にボアとゴブリンの合体し』 これは……メッセージの途中で力尽きたのか?)
「儂は酷く後悔した。存在しない宝に
失敗から学ぶことは大きい。だが、取り返しのつかない失敗をしてからでは遅すぎる。
「それ自体はとても喜ばしいことじゃ。しかし、儂は今でも夢に見る。息子を、兵士たちを儂の愚かさのせいで死なせてしまったあの日のことを。死んでいった者達の無念を晴らしてやりたい。儂の独りよがりな我が
バルバロイ三世はそう言うと、頭上の王冠を取り頭を下げた。
(一国の王がただの冒険者に頭を下げるか。それほどまでに昔の自分の愚かさを後悔しているんだな)
カエデと目を合わせ頷く。返事はもちろん決まっていた。
「「お任せください」」
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