転校生も非王道1.

「貴方が多賀谷夏目(タガヤナツメ)君ですか?」


「あ、はい…そうだです。あんたは誰だですか?」



ふはっ!やべーリアル王道転校生じゃんこれ!!この学校のバカでかい門を飛び越えてたからまさかとは思ったけど!!瓶底メガネ、マリモみたいなカツラ、しかも敬語話せないとか最高じゃん。

変装といたら絶対美少年だな。アンチじゃないといいけど。



「私は咲良凪、ここの学校の副会長をしております。今日は理事長室まで多賀谷君の案内を任されており、ここで貴方が来るのを待っていました」


「そうだったのか、ありがとうです。それより凪、その作り笑い気持ち悪いぞです」



すっげーセリフまで王道。しかも俺のこともう呼び捨てとか王道転校生恐るべし。

さて、俺は作り笑いを指摘されたからこの王道転校生君にキスしないといけないのか…無理だな、唇にキスは無理、頬っぺでいいか?



「私の作り笑いを見破ったのは初めてです。気に入りました夏目…チュッ」


「…口じゃなくて何故に頬っぺ?王道副会長なら普通唇にキスすんじゃねぇのかよおい!」


「はっ?何?」


「だーがーら王道副会長は頬っぺじゃなくて唇にキスすんの!!何チキってんだよゴラァ」



え、何…?転校生キレだしてんだけど。さっきと性格違いすぎん?

怖すぎるだろ、ヤンキーじゃん。俺今胸ぐら掴まれて息苦しいんだが。小柄なくせに力強すぎ。

あと転校生が腐男子とか聞いてねぇ、同志じゃねぇか。



「おい、聞いてんのか?副会長は重要な役なんだからちゃんと俺にキスしろよ」


「無理、俺好きな人としかキスしたくない」


「…好きな奴いんの??」


「いちゃわるいかよ」


「え、凪かわいっ、顔真っ赤じゃんてかさっきと全然性格違うけどこっちが素?」


「腹黒副会長は演技」


「まぢかー!大柄な見た目のわりに素がかわいとかどんなギャップ萌え!!」



…しまった、俺が演技してるって事転校生に話しちまった。

まぁいいか、優も知ってるし、口止めしとけば大事にはならんだろう。



「で、誰だ?凪の好きな人誰??」


「多賀谷口軽そうだから言いたくねぇー」


「は?なんでだよ!俺演技上手いし口堅いぞ!あと多賀谷じゃなくて夏目でいい」


「はいはい夏目ね、王道転校生演技だったのかよ、総受けライフ目指してたのか??」


「いや、違う、王道転校生を演じつつ恋のキューピッドになろうとしてた」



やっぱ王道転校生は演技だったのか。あんなタメ口と丁寧語混ざった言葉使うやつ普通はいねぇよな。


それよりも気になるのが夏目の言う恋のキューピッドだ。

お前、どんな目的でこの学校に転校してきてんだよ。確かにここは男子校でホモ率高いが。


…いや、俺もBLウオッチングしたくてこの学校に入学してたわ。

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