副会長は演技中5.

「ふがっ!?」


「ふはっ!なんだよその声」


「…うるさいです」



拓実にキスされるかもしれないと勘違いして目をつむったら鼻を摘まれた。


…そうだよな、拓実が俺にキスなんかするわけないよな!!紛らわしいことすんなよ、くっそ恥ずかしい思いしたじゃんかー!!俺のドキドキ返せこの野郎!!


ムカついたので拓実に掴まれていた手首を振り払った。



「で?双子にどこを触られたんだ」


「言いたくありません」


「拗ねんなって、教えてよ凪」


「拗ねてませんし教えたくありません」


「頑固だな~」


「なんでそうなるんですか」



もうなんでもいいからとりあえず俺から離れろ!!無駄にえろい声出して耳元で囁くなゾワゾワする!!俺の息子が起きちまうだろうが!!

ダメだ、このままじゃ腹黒副会長キャラ崩壊して素の俺が拓実にツッコミをいれそうだわ。


早く仮眠室から出なければ。



「用がないなら仕事して下さい。仕事量が1番多いのは貴方なんですから」


「酷い奴だな、凪が顔真っ赤にして俯いてたから気を利かせて仮眠室まで連れてきてやったのに」


「っ、それは申し訳ありませんでした」


「謝るなら双子に触られたところ教えろよ。凪が感じてエロい声出る場所、俺も知りたい」


「ちょ、ちょっと拓実!?何するんですか」


「しーっ、静かに。騒いだら双子達に見られんぞ?」



いや、もう見られてもいいからとにかく俺の上からどけって!!


俺は今拓実にベッドの上に押し倒されている。


何でこうなったかは俺も不明だが、とにかく双子でも優でも誰でもいいから俺を助けてほしい。


無理、好きな人に押し倒されてるとかもうドキドキしすぎて死ぬ。また顔赤くなっちまうから!!



「ふ、ざけてないでどいてください」


「俺はいつも真剣だけど?」


「私をからかって楽しいですか?」


「からかってるつもりはないな」


「拓実~お取り込み中悪いんだけど、急ぎで風紀から電話~」



ドア越しからコンコンとノックの音と優の話し声が聞こえた。


よかった、助かったこれで拓実から開放される。安堵して体から力が抜けた。

早く行ってこいと目で拓実に合図したがニコリと微笑むだけだった。


え、何…なんか嫌な予感すんのは気のせいか?



「なーぎ」


「ひゃっん」


「俺で消毒な。にしてもお尻触っただけでこんな声出して…凪はエッチだな」



バタンとドアが閉まる音がした。


1人残された俺はベッドの上で動けなかった。

拓実に触れられた部分がいつまでも熱をおびている。心臓はバクバクしてるし、顔もあつい。


なぁ…消毒って何?なんで双子が触った場所拓実も触ってくるんだよ。


拓実はそんなつもりなくてもこんな事されると勘違いしそうになるからやめてほしい…。



ドキドキがズキズキに変わって胸が苦しくなった。

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