第48話 独自の文化
そうね、改良。考えてみればいま私たちがやっていることだって同じだ。失った食文化、それを埋めるために世界中を渡り歩いて、素晴らしい料理に触れてそれを自国好みにして文化にする。
なるほどね、なんとなくだけど分かったかもしれない。
「改良して、自分たちにとって良いものにしていく。いいじゃない他にもいろいろ勉強させてほしいな」
「了解したのじゃ」
そして私たちはいろいろな食べ物に触れていった。
蕎麦、うどん──。お好み焼きにたけのこ。
話はうどんに入る。
「このうどんというのはな──城下町にある小説書きの集まる集団が、忙しい中手早く食べ物を食べられるよう開発した食べ物なんじゃ。よかったら明日食べさせてやるでござる」
淀姫は、小説とうどんがいかに強い結びつきなのかをしばらく語っていた。
「ありがとうございます。うどんな方も、今度食べさせていただきますね」
「天ぷらもつけてやるぞい」
それから、漬物に豆腐。味噌と使ったスープ、味噌汁。
「この味噌汁は豆腐と海で採れる海藻、わかめを入れるとおいしいんだぞい」
遠く離れた文化だけあってどれも目新しいものばかりで心が躍る。
中には自身で改良できそうなものだってあった。こういったことを、これからも生かしていきたいな。
数日間で、倭京の文化を堪能する。朝食のご飯に味噌汁。うどん。さらに、色々なお寺や神社への参拝。
両手を合わせて、頭を下げる。こうしてこの人たちはいろいろな神様や仏様に祈りを捧げたり感謝を表現しているんだ。
こっちとは全く違う、色々なものに神様があるという独特な考え。こういう考えもあるんだって──参考になった。
「八百万の神々といってだな──様々なものに神様が宿るというのが私たちの考えなのじゃ」
「面白い文化よね」
全く違う価値観の会話が弾む。殿様や、淀姫も私たちの文化や風習。政治の状態などを話すと興味津々そうに耳を傾けてくれた。
「なるほどな、国交を深めるのに参考になったぞ」
「助かったのじゃ。わしらも、そなたたちベネルクス地方との交流を考えていたのじゃが、なかなかお主たちの思考や文化を理解するのに戸惑っておった。色々ためになったぞい」
それから、文面で契約をいくつか行った。
「よかったわ。私たち、こっちの方の事まだあまり知らなかったの。これからは、色々と協力できたら幸いよ」
貿易を積極的に行いあい、色々なものを交換し合って国を発展させること。
今度大臣を派遣するので、定期的に国交を開くこと。
そして、何かあったら互いに助け合う相互保障についても話し合った。要するに、色々いいところを認め合って、協力していこうってこと。
「ありがとな。これからは国同士の付き合いということでよろしくな」
「こっちこそよろしくね。これから友好国として互いに発展していきましょ」
殿様と、強く握手をした。これからは、正式な友好国として同盟を築いていくことになりそう。いろいろと力を合わせて、発展させられたらいいな。
そして、数日過ごしたのち帰国することとなった。
港町について、大きな船に乗って淀姫たちに別れを告げる。たくさんのお侍さんに囲まれた淀姫と殿さまに話しかけた。
「ありがとうございました。淀姫様といた日々は、忘れません」
「こちらこそ、アスキス様には色々なことを学びました。またどこかで会えるといいですね」
「そうね、色々とよろしくね」
倭京との交易、とっても楽しみ。
聞いた話だとこの辺りの海には色々独特な魚とか資源が豊富。だからこっちじゃとれない海産物を、冷凍か干物にして輸入したり。あとは、船を通じた貿易なんかもいろいろしたい。
互いに特産品や自国で採れる資源なんかを融通しあって発展していけばいいと思う。ゆくゆくは、大陸の端っこの国同士同盟を組むとかいいかも知れないわね。後、もし来るならしっかりおもてなししないと。また、この前みたいになるのだけは絶対に避けないと──。
それに、あんなにおいしいものを頂いたのだから。この恩は絶対に返さないと。
そして、出発に時間に。船に乗ると、ほどなくして港を去っていく。
「本当にありがとうございました。絶対にまた会いましょう」
「こちらこそ楽しい時間だったでござる。また会って、今度はそなたの文化や料理に触れてみたいのじゃ!!」
「りょーかい! 楽しみに待っててね。絶対におもてなしするから!」
そんなやりとりをして、私たちは倭京を去っていく。初めて見る文化に、戸惑うところもたくさんあった。けれど、どれも美味しい料理だった。この出会いを、無駄にしないようにこれから頑張らなくちゃ。
あと、彼女たちへのおもてなし。絶対素晴らしい料理を作っていかなきゃ。
それだけじゃない、私たちがもらった楽しさを返さないと
素敵な時間を終え、私たちはブリタニカに戻っていく。長い旅路になっちゃったなあ。
でも、色々なものを手に入れられた。友好関係、美味しい料理のレシピ。
手に入れたものを、無駄にしないようにしなきゃ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます