第47話 あのデザート
踊る鰹節は、とても香り豊か。ソースとキャベツ、もやしがとても合っている。濃すぎず、薄すぎず──こんなにいい味なんだ。感動しちゃう。
「すごいじゃないですか」
「そうよ」
コルルとヒータからも大好評。これいい料理ね。こっちにある材料でも、工夫すれば作れそう。
作り方とか後で聞いてみないと、またどこかで食べてみたいもん!!
ボリュームがあって、とってもおいしかった!!
感動していると、この場にいる人たちがざわざわし始める。
そして、一人の人物がやってきた。お侍さんという男の人を数人連れて、彼に囲まれる形でちょんまげをした青を基調とした服を着ているおじさん。
「殿、食事の用意が出来ました」
「くるしゅうない」
殿様だ。笑顔で女性に言葉を返すと、全員が正座になりお辞儀をする。私たちもどうしようとするかわからずひそひそと話した後同じように正座したまま頭を下げる。
殿様は、私たちの事に気が付くと気さくな表情で話しかけてきた。
「おお、アスキスだったか。うわさは聞いておる。こんな料理だがぜひ味わってくれ」
「ありがとうございます。『お好み焼き』とっても美味しいです」
「ありがとな、『お好み焼き』ゆっくりと味わっていってくれ。よかったら『お好み焼き』のことを母国で一人でも多くの人に伝えてくれ。いいな?」
出来上がった『お好み焼き』を食べながら、とてもご機嫌そう。『お好み焼き』の話を自慢げにしゃべる。
豚肉ではなく、イカやタコを使ったシーフードのお好み焼きも美味しいとか──藩によって味が微妙に違って、色々な味を楽しむのもいいとか。
「今日はわしが継ぐのじゃ」
淀姫が、殿様の酒がなくなり次第おちょこに酒をついていく。
私も飲んでみたけど、白く濁っていて苦い。
けど、香りがあったりしっかりした味があったりで独特の美味しさがあった。癖になる味よね。
こんな素敵な料理があったなんて知らなかった。
コルルとヒータもだけど、お好み焼きをおかわりして今度はイカが入ったお好み焼きを食べた。
イカの歯ごたえの良い身がうまくアクセントとなり、さっきの豚玉とはまた違った美味しさがあ。
3人そろって大満足な表情になる。
「『お好み焼き』とっても美味しいじゃない」
「はい、格別な味でした。またいつか、食べてみたいです」
お腹いっぱいになってお腹を押さえていると再び淀姫がやってきた。
外側は花柄を基調とした黒色、内側は真っ赤なお椀を私たちに持ってくる。デザートがあるんだ。ちょうど甘いものが食べたいと思っていたし、何が待っているかとっても楽しみで
ワクワクしちゃう!
「デザートは、これなのじゃ」
コン──とお椀を机に置いた。どれどれ、どんな形をしているのかな??
とんがった形。上の部分にはチョコがかかっていて、中にはビスケット。
チョコもビスケットも知ってはいるけど、これは初めて見た。
コルルとヒータも見たことがないようでチョコのお菓子を見ながらきょとんとしている。
どんな味なのかなぁと考えていると、オレンジの柄の和服を着た人が話しかけてきた。
「たけのこっていう、この国では誰もが食べているお菓子なんです」
「たけのこ?」
「この地域で竹という植物があって、竹が地面から生えてくるとき、芽が出かけているものをタケノコとしているでござる。このお菓子は、そのタケノコの形をしたお菓子なのじゃ」
淀姫の話に私たちは楽しそうに耳を傾ける。なかなか面白そうな話よね。
ヒータもコルルも興味津々そう。私もどんな味なんのか楽しみ。
そしてヒータがたけのこを口にし始めた。食べた瞬間、ヒータはほっぺを両手で抑えその瞳をキラキラと輝かせる。
「何これ、濃厚なチョコレートと軽い食感のビスケットがとってもあっていておいしいわ」
「でしょう? それが人気を博していて、今では国民的な人気食品なんですよ」
ヒータがあそこまで喜んでいるとは、相当美味しいものなのだろう。私も、皿から1つ取り出して口にしてみる。
「おおっ、ビスケットはサクサク、チョコは濃厚。いいんじゃない?」
確かに、サクサクしていて軽い食感でとっても美味しい。これなら人気が出るのも無理はないわね。
軽い食感だったのであっという間に食べ終わってしまった。
美味しかった、おまけに苦くて香り豊かなお茶とよく合う。残ったお茶を飲み干して、淀姫と話す。
「とても素敵でした。お茶ともよく合っていますし」
「ありがとうございます。よく気が付きましたね。たけのこというのは一般層の国民たちが、忙しい日々の合間にお茶と一緒に食べて、疲れを癒すことをコンセプトにしたお菓子でして」
「だから、サクッとした食感なのね」
「そうですね。改良したんです。どちらも既存の食品でしたが、こっちの文化や趣向に合わせて改良したんですよ」
「はい、ビスケットもチョコレートも食べたこと自体はありましたが、それを組み合わせてここまでおいしくしたのはすごいと思います」
「私たちは、島国だったので──国が発展するために様々なものを取り入れてきました。
他国の良いところや文化を吸収し、自分たちの文化とすることで発展を繰り返してきたのです」
「うん、すごいじゃない。私たちも見習いたいくらいよ」
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