第10話【死の狭間】

〖終わりを見せず、反撃開始!!〗

『鬼神武核 残穢の鬼面』それは、魔術師の中で禁じられた術であり、言わば『禁術』だ。それを元々秘めていたブラックパーカー。彼はまだ、この鬼面の能力をわかっていないにも関わらず、不死身のドラゴンを倒す為にその力を解放したのだった。

(ブラパの奴…あんな術を持っていたなんて…)

「グルルルル…!!」

クソトカゲは、鋭い牙をブラパに向けて更に怖い顔で威嚇をしている。

「ガアァッ!!」

そして、ブラパへ直進するが軽々とクソトカゲを飛び越え、影からタガーナイフを取り出し背中に次々と斬撃を入れていく。

ザッザッザッ!!!

「グオォォォォォォォォ!!」

クソトカゲにかなりのダメージを入れた後、クソトカゲの後ろに着地をするが、バチンッ!!っと音と共に尻尾でブラパを薙ぎ払う。吹っ飛ばされたブラパはビルをいくつも貫通して行った。ベッドロックはその姿を見て、自分が次のターゲットになったことを自覚し、振り向いて剣を構える。

「来いよ、今度は僕が…」

ヒュゥン…ズガガガガガガガッ!!!

だがベッドロックがクソトカゲに立ち向かう前にブラパは空を蹴って戻って来るとクソトカゲの毛皮を掴むと背中から6つの黒い翼が生えてクソトカゲを地面に押し付け引きずった。クソトカゲの皮膚は抉られ、苦しそうに呻くが迷う必要なんてない…なぜなら、コイツは危ない生物だから。

「シュゥゥゥ、此処でオマエを殺す!!」

ドゴォォォォォォンッ…!!!

そしてクソトカゲを空中に片手で投げると、瞬時に移動し、蹴り飛ばす。しかし、一瞬で体は治癒し、クソトカゲは飛び上がってブラパに噛み付いた。

ブチィッ!!

そしてクソトカゲはブラパの右肩から引き千切る。だが、ブラパは血も吹かず、影が右肩のような形となると、影は溶けて本物の肉体が再生する。

「そろそろ終わらせる…」

ジャキィ…

再び影の中からタガーナイフを取り出すと、タガーナイフの持ち手より下の部分が変形し、合体する。ブーメランとなったナイフは刃先が怪しく光り出し、ブラパはそれを力強く投げる。しかし、簡単にクソトカゲはブーメランを避けるが、ブーメランは急カーブをすると初速より更にスピードを上げてクソトカゲの前足を斬り裂いた。更にビルや地面に激突してはスピードを上げていき、気付けばブーメランはクソトカゲを捕らえる檻となった。そこから風が勢いよく吹き荒れ、クソトカゲが回復した前足を伸ばすと瞬きするよりも速く粉々に斬り裂いた。

「グオォォォォォォォォ!!?」

怒りに任せ、クソトカゲは外で佇むブラパ目掛けて突進したが、今、ブーメランのスピードはマッハへどうだったしていた。

ジャキジャキジャキジャキッッ!!!!

「グガァ…ゴゴ…」

そしてドサッと音と共にクソトカゲは倒れ込んだ。ブラパは安堵のため息をして、クソトカゲに背を向けた一瞬、クソトカゲは死に者狂いで半端な回復をしてブラパに襲い掛かろうとしたが、ベッドロックが瞬時に剣を引き抜き、クソトカゲを真っ二つに斬った。

「…怖いって言ってるクセによく動いたな」

「ま、まあね」

ベッドロックは振り向いてブラパに曖昧な笑顔を見せながら頭をぽりぽりと掻いた。

ドクンッ…!

「ッ…!!?」

パキッ…バシュゥ!!

すると鬼面に罅が入ると、鬼面も鎖が弾けてた。そして何よりも一番やばかったのは心臓から全身へと巡る強烈な痛みであった。

「グッ…ア"ァ"ァ"…」

「おい、どうした…」

そしてその場にブラパは倒れ、気を失ってしまった。これが禁術の反発である。

ー渋谷駅付近ー

その一方で、渋谷駅付近ではけいぶんに失神したはむ、さかなにやるっきーが謎の少年と彫刻を相手にしていた。けいぶんはやるっきーとさかなに背中を預け、謎の少年に刀を向ける。そして、さかなははむを地面に寝かせ、やるっきーと協力して彫刻の相手をする。

「金髪の青年よ。時に"死"を恐れる時はあるか?」

「あ?」

急な質問にどう答えるか悩むけいぶん。そして前にボルトとの本気"ガチ"の殴り合いで死を感じた時があったが、恐怖や恐れなどの感情は全くなかった。

「特に死を恐れたことなんてない。それに…」

バリ…バチバチッ!!とけいぶんの身体中を電撃が駆け巡る。

「死ぬのはお前だ」

「随分と簡単な判断で…」

けいぶんは少年へと走り、未来形刀を振りかざすがゆらりと軽やかに刃を避けて少年の剣がけいぶんの首を掠る。ビッ!と切傷が出き、血が流れる。けいぶんはそれに強大な殺意を感じ取り、少年の胸ぐらを掴む。

バチバチバチッ!!

「喰らえ、『超帯電』!!」

バリバリバリィーーー!!!

バチィっと身体中を纏っていた電撃は消えて、超帯電を使ったせいで電力の回復が必要とけいぶんは考えていたが、コツコツと足音を鳴らして平気そうに少年は服についた埃を払っていた。

「僕、汚れるのは嫌いなんだ…」

すると赤く染まった剣がけいぶんの腹に斬撃を入れる。それと同時に少年の周りを浮かんでいた3つの赤い光がけいぶんに追撃をした。

「!!?」

腹から血が流れ、思わず片膝をついてしまうけいぶん。

「そういえば、まだ君に伝えてなかったね」

そう言いながら1つの赤い光が少年の手に乗った。

「これは、僕の先祖の霊魂だよ。…僕の為にこんな姿になっても僕を守ってくれてるんだ…だから、君ごときに負けないんだよッ!!」

そして剣を天に指すと3つの霊魂が剣に集まり、赤く剣が轟々と燃えた。

「お返しするよ。『播展に集う魂よ。今1つとなれ』!!」

ゴオオォ!!

(肌でわかる。これは正面から受けれない!!)

少年は剣を降り下げるのと同時にけいぶんは刃で受け流そうとしたが、力に流されてしまい諸に受けてしまった。土煙が逆立ち、辺りを包んだ。それを見てさかなとやるっきーが振り向いてしまい、彫刻の攻撃をギリギリで避けれたが、二人共肋骨を持ってかれてしまった。

「クソッ…」

(けいぶん…無事でいろよ…)

サァァァァァ…

土煙は風に流され辺りが見えてくると、そこにけいぶんの姿が見つからず、戸惑う少年。

「い、居ない…一体何処に!?」

「…!!?」

ふと、足元に巨大な影が映り、見上げればけいぶんが肩や頭から血を流しながら両手でピストルを作って構えていた。

(何をする気なんだ…)

好奇心と不安が入り交じった感情により、少年は一瞬の判断を誤ってしまった。

バリバリッ……!!!

指先から雷の塊が出現し、周りのエネルギーを吸収すると共に凝縮していく。

バチッバリッ…バチチチチチッ!!!

「お前は確かに強かったぜ…たがよぉ…」

ふとけいぶんの脳内に再びボルトが殴り掛かって来るのが目に映る。そして、少年に言い、放った。

「うちの"ボルト"の方がヒヤッとさせられるぜ!!」

「『雷銃』"らいじゅう"!!!」

その瞬間から、少年は"初めて"死を悟ったのだった。

その後、雷銃を喰らい地面へ寝転び、体が動かなくなったボロボロの少年に近寄るけいぶん。少年は、ゆっくりと口を開いて空を見上げた。

「君、強いね。確かに僕の今までの中で一番ヒヤッとしたかな…」

ポケットに両手を入れて、少年に尋ねる。

「お前、名前と何類だ?」

その質問に少し伝わりずらかったのか『?』の顔をした少年だったがわかったのか馬鹿げたように笑った。

「そうだな、僕は赤塚捎命(あがつか しょうめい)。そして、君が残念するだろうけどただの貴族の人間さ」

そして少年に自分の目的と全てを話した。それを面白く聞けば、笑顔で笑った。

「アッハッハッハ!!いや、面白いね君。で、僕はどうすればいいの?」

それに勢いよく答え、捎命へと手を差しのべる。

「一緒に来い。共に旅をしようぜ!」

その手を握り、起こして貰う。そして、真剣な顔でけいぶんに言った。

「じゃあ、とても長く面白可笑しい旅をしよう!」

パァンっとハイタッチを交わす捎命とけいぶん。

その近くでやるっきーとさかなは一人がお互いに目で見ながら攻撃を繰り返す。だが一向に倒れる気配はなく、ただ佇んでいるだけだ。

「何なんだよ…マジで…コレでセーフとかscpは本当に意味がわかんねぇ!!」

やるっきーが弓矢を放ちながら文句を言い出す。それに呆れつつも、さかなは槍で攻撃を繰り返す。

(確かにこれじゃどうしようもない…一体、どうすれば勝てるんだ。考えろ…考えろ!!)

さかなの脳内で様々な式が浮かぶが、家で飼う熱帯魚に餌をあげたか?と脱線してしまったのに気が付き、頭を横に振る。そんな時、後ろから声がした。

「頭を使えよ。そいつは面倒臭い存在(scp)なんだろ!!?」

その聞き覚えある言葉に思わず、二人は目を彫刻から離してしまった。

((ヤバい!!?))

「全く、世話が焼けるぜ…」

ビュゥン!!

その一瞬、彫刻と同じ速度ではむが動き、彫刻をハンマーで殴り飛ばした。

「あっぶね、サンキュ。ハム」

「危機感…」

「それにしても、何ではむは動けんの?さっきまで死んでたじゃん」

「勝手に殺すな…」

三人の会話が戻ったが、どうやらはむは彫刻の攻撃を受ける少し前に自身の首に重力を掛けて完全に首が折れないようにしていたのだ。

「まぁ、まだ痛いけどな。それに…」

はむが指を差す方向を見れば、捎命とけいぶんが楽しく会話をしている姿が見えた。

「アイツ(けいぶん)だけ休息してんの、気にいらん」

((確かに!!?))

ガラッ…

すると、瓦礫を超えて彫刻が再び現れる。それに食料組は、武器を構えて同時に走り出す。

「チャンスは一回、決めるぞ!!」

「うん!」

「応!」

はむに続いてさかなとやるっきーが頷き、やるっきーが先攻を決める為、弓矢を強く引いた。

「『四字切り』『爆』『千』『風』『陣』!!」

「『四字風神月』(よじふうじんげつ)!!」

すると、4つの漢字が原形化し、それが重なると矢となり、放たれれば彫刻の腹部を貫通する。次にさかなが槍投げの体勢を取る。

ザザッ!

「『水神螺旋術 水響の虚』!!」

そして、槍が彫刻の顔面に投げられ、衝突する瞬間に水の波紋が浮き出ると、衝撃波が遅れて入り、彫刻の首は捥げた。最後に、さかなの肩を蹴って飛び上がり、はむがハンマーを大きく構える。

(踏み台にされた…)

「行くぜ。『重転式法 術電』!!」

そして、電撃の音と共に重力により彫刻は潰れてスクラップになってしまった。

「…とりあえず、皆目離してみる?」

「そうだな」

やるっきーの質問にはむとさかなは頷き、一瞬目を離したが、静かにもう動く気配はなかった。

「「「ふぅ」」」

食料組は疲れ果て、地面に倒れ込む。これで"ひとまず"と言いたいが、まだ、ゴールは見えなかった。

ズズズズッ…

食料組、けいぶんと捎命、まるしぃの場所に影人"シャドウ"のポータルが開いて、次々とシャドウが現れる。

「またか!?」

「まだ休みたいのに…」

「何だアイツら…」

「面倒くせぇ」

そして、まるしぃは姉を避難所に送り届けて皆の場所に戻ってる途中、なんと『scp-1048 ビルダーベア』に遭遇してしまう。一見ただの熊人形だが、ケテルクラス。そんな奴を相手に出来る程の力がない。その見た目は逆に恐ろしく感じたまるしぃ。更にたくと、るる、ボルトの場所べは『scp-076 アベル』が現れていた。ケテルクラスであり、人類に敵対的な男である。上着を着てなく、太陽のようなタトゥーが筋肉ある上半身に描かれていた。

「あぁ、ニンゲン…殺す!」

「…たくと、僕闘えるかわかんない…」

「ボルト、るるを守ってくれるか?」

「いや、俺も闘うさ」

「ニンゲン…ニンゲン…」

次の瞬間、一瞬でたくとに近付き、右腕がたくとの腹部を貫いた。

「ガハァッ…!!」

「たくと!!」

そして、たくとから右腕を引き離し、続いてボルトへと拳を放つが、ギリギリでボルトは真正面で受け止めたが、そのまま力に押し返すことが出来ずに吹っ飛ばされる。

(まだだ、まだ、終わっちゃいねぇよな。ボルト…)

そう自分に言い聞かせるボルト。再び立ち上がり、アベルへと足を運ぶ。すると、少しにやけ面を見せたアベル。それに答えるようにボルトは印を結ぶ。

「るる、たくとを治してくれ!」

「わかった!無理はしないで!」

「応!」

そう言い、るるはたくとを抱えて離れた。それを時にボルトは印を結び終わると空が荒れ、紫色の稲妻が走っていた。

「じゃ、始めるか…」

すると、空から翼が紫色の稲妻で出来たドラゴンが降りて来るのと同時にパキパキ…と音を立ててボルトの体は黒と紫色の鎧のような物が纏われていった。そして、ドラゴンはボルトまで近付くと粒子となって鎧に血管のようなものが浮き出る。そして、稲妻の翼が生えて、更に異様な気配を漂わせていた。その姿にアベルは少し足を引かせた。ボルトは手招きをしながらアベルに言った。

「『竜魔神武装 空竜の雷』」

"りゅうまじんぶそう くうりゅうのいかづち"

「ほら、来いよ。お遊びの時間だぜ」


〖禁じて、新たなリミット解放!!〗

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る