第7話【脱走】
〖大乱闘 炸裂!!〗
記録 現在時刻06:00
『scp財団』から24体のscpが脱走。速やかに避難場所に移動してください。繰り返します。24体のscpが脱走。荷物を捨てて直ちに避難してください。
東京は警報が鳴り響き、警察や自衛隊が一般人を避難させていた。一方でCROWNチームのけいぶん達は攻撃型のヘリコプターに乗り、東京の空に到着する。そして、他のヘリにはまるしぃと同じ祓い屋や軍人も来ていた。それほどの大規模な混乱を導いていることにけいぶん達は気付いた。
「目的地点に到着しました。これよりスマートウォッチに案内通路を割り出します。CROWNチームは降下を開始してください」
ヘリからAIナビゲーターが指示を聞いた後、赤いパトランプが光だし、ヘリの後ろのハッチと両方についた扉が開く。扉にはロープが地面まで降ろされているがまるしぃ以外は全員ハッチから飛び降りようと準備運動をしていた。すると、ボルトは隣にいるけいぶんに煽るように囁いた。
「けいぶん。お前は高所恐怖症なんだから一番に飛び降りなくてもいいんだぜぇ?」
ピキッ…
けいぶんはその言葉に乗ってしまい、けいぶんもボルトを煽り返す。
「お前こそ、無理に先行くなよ。ボルトは方向音痴だからすぐに迷子なっちまうぜ」
「あ?殺るか?」
「そっちこそ(怒)」
お互い殺意のある見つめ合いが始まり、そして口喧嘩が始まった。皆は呆れてハッチから飛び降りようとした時だった。
ツルッ!
「あ、やべッ…」
ガシッ!!
「おい!?」
ハッチからバランスを崩して落ちそうになった瞬間、けいぶんの服をとっさに掴み、けいぶんも共に近くのビルの屋上に頭から落下した。皆はいい迷惑だと思いつつも少し笑い、飛び降りた。道路に着地し、辺りを見渡すと人々は避難していて、自衛隊や警察達が沢山集まっていた。そしてまるしぃと合流して今回の任務の説明をたくとがしようとしたが、ボルトとけいぶんが居ないので仕方なくスマートウォッチの電源を入れて説明をする。
「今回の任務は、逃げたscpの確保だ。もし、逃げ遅れた人が居たなら第一に優先してた助けろ。そして、無理に相手をするなよ。中には"ケテル"クラスのscpも居るからな。作戦開始!!」
「「「「「「「「了解!!」」」」」」」」
そして全員がそれぞれ別れて行動を開始した。
同時刻、CROWNチーム以外にも様々な場所で『祓い屋』や異能力者が行動を始めていた…
ー渋谷駅ー
「部外者は全員僕が消す」
「いやぁ~、何処かに面白いもんないかな?」
ーヒューマントラストシネマ渋谷ー
「楽しくなってきたわぁ。そう思わない?ハイゼン」
「そうだな…」
ー渋谷スクランブル交差点ー
「私の妹、『まるしぃ』は何処かしら~♪」
その頃、渋谷マースシティでは、ボルトが暇そうにぶらついていた。何故なら敵という相手も居なければ暇を潰す話し相手すらいらいからだ。
「はぁ、静かだ。そうだ。雑貨屋に寄って立ち読みしようかな~ん?」
廊下を走っていると、雑貨屋前の隅に何かが踞っているのが見えた。ボルトは"人"だと思い、近寄って話掛けようとした瞬間だった。"そいつ"の顔を見て、ボルトは瞬時に理解した。それは…ケテルクラスだ。
(コイツは危険ってたくとが言ってた!!)
scpにはオブジェクトクラスというものが存在する。それはそのscpの危険度を表しており、一番下からSafe、Euclid、Keterと別れている。その中で最も危険度があるのは『Keter』であり、今ボルトの目の前で呻き声を出しながら立ったのは『scp-096』名は恥ずかしがり屋と書いて『シャイガイ』。
そして、たくとの説明を思い出し、捕獲しようと傀儡縄を取り出した瞬間だった。
「ア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!」
キィィィィィィィンン!!
そして、ブチィッ…と音と共にボルトの鼓膜は破れ即座に距離を取る。
(なんて声だ。耳聞こえなくなっちまったよ!!)
額に汗が流れ、傀儡縄を構えていたが少しすると、シャイガイは窓ガラスを割って外に出て行ってしまった。
「あ、逃げた!?」
ボルトも続いて窓ガラスから飛び降り、シャイガイの後を追いかける。そして、今皆の場所にはそれぞれのscpが発生していた。『scp-173』、『scp-076』、『scp-682』など他のscpが姿を現した報告が行き渡っていた。
…まるしぃは、その頃ビルの屋上で異常事態に備えて準備をしていた。だが、突如としてビルを何かが這い上がって来るような音が聞こえた。まるしぃはそれに恐怖と不安を覚え、『体』と書いてある札を自身に張り付け、両手に『炎』と書かれた札を持ち構える。
(一体、どんな奴が来る…)
「ア"ア"ア"ア"ア"!!」
それは、シャイガイであった。まるしぃはその姿を見て思い出す。あの幼い四人を抱えて路地から逃げ出した時、奥の暗闇にいたのはシャイガイだったと。瞬時に札を投げようとしたがシャイガイのほうが圧倒的に素早く、瞬きした時には目の前まで腕が来ていて、その腕はまるしぃの頭を握り潰す寸前だった。
(結局、また私は何も…)
その時、ボルトが風も無く現れ、まるしぃからシャイガイを引き剥がす。
「まるしぃ、ここは俺が引き受ける!他を頼んだ!!」
「ボルト!!?」
そしてシャイガイの首を絞めながら、ボルトは共にビルから急速落下してシャイガイを地面に叩きつけた。
地面は凄まじい音と共に割れて、シャイガイは地面にめり込んだ。
「ガア"ア"ア"ア"ア"ア"ア"!!?」
「いい加減、くたばりやがれ!!」
メリィ、ドゴォ!!
遂にシャイガイは動かなくなったかと思い首を絞めていた手を離した瞬間…グンッ!とシャイガイに掴まれたボルトは投げ飛ばされ、上手く受け身は取ったがその肉体には傷があまりついていないことに驚いた。
(クソッ…一体、どうすれば…)
ふと後ろからバイクの向かって来る音が耳に入り、振り返ればるるが運転したバイクが来ていて、後ろにはロケランを構えたたくとがいた。
「ゑ?」
「ちゃんと避けろよ、ボルト!」
バシュウ!!
そしてロケランの弾が発射され、ボルトはとっさに屈んで避け、後ろにいたシャイガイの顔面に炸裂し爆発した。
「ッ…あぶねぇだろが!当たったらどうする!?」
ボルトはバイクが止まってから降りてきたたくと軽く怒った。その反応に口を隠して笑うたくと。
「いやぁ、すまんすまん。でもどうせ当たんねぇだろ?」
「…まぁな」
ボルトは改めて考えればあんな弾当たる訳ないと考え直したのだった。まぁこれで一件落着と言い掛けた瞬間的だった。
「まだだね…」
るるは強張った顔をして煙が上がる場所を見つめていた。「何言ってんだよ」とボルトが軽くるるの肩を叩こうとした時、煙を取っ払いシャイガイが出てくる。
それには勿論、引くほどの耐久性があるからだ。そして再びシャイガイはボルト達の場目掛けて突進して来る。それと同時にるるがシャイガイに突っ込む。たくととボルトは止めようとしたがシャイガイの不意をついてるるはシャイガイに触れる。だが、何も起きないし、シャイガイはるるに襲い掛かろうとした…その一瞬、るるは片手で『印』を結び唱えた。
「『刻は流れ、そして名も亡き事として散る』」
「"生仄の時"」"しょうそくのとき"
「グ、ガガッ…」
グッ…シュハァァーー
そして、るるの技はシャイガイの生涯が産まれるずっと前の時間に合わせ、シャイガイが産まれない時代へと塗り替えて、消滅させたのだ。
「…すげぇなるる」
るるはボルトとたくとに満面な笑みを見せて自信満々に言った。
「でしょ(嬉)」
ーその頃ー
「…今回、俺の出番は?」
けいぶんは一人、裏で煙草を吸いながら拗ねていた。
〖一体仕留めて…〗
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