第5話 ギルドの臨時職員

 ただの受付嬢と思っていたミルダは、副ギルドマスターだと回りの合格祝いしてくれてる冒険者が教えてくれた。

 私のCランクカードとレンのFランクカードが出来上がり、真新しいギルドカードを受け取った。


 見渡した所トン達を入れて冒険者は50人ほど、エール1杯銅貨1枚かな?全員におごっても銀貨5枚で足りるだろう。

「ここに居る、合格を祝ってくれた全員にギルド酒場でエール1杯おごる!飲んでくれ」


「「「「「おーぅ!ゴチになります!!」」」」」

「「「「「セレンさん、太っ腹!!」」」」」

 皆喜んでギルド酒場にとんで行った。

「大将、これで皆にエール飲ませてやってくれ!」

 奮発して、金貨1枚大将に渡した。

「Cランク冒険者、ギルド酒場で金貨は必要無いぞ?」

「私と娘にスープとパン、それに串焼き肉を出してくれ」

「特別旨いスープを出してやる!」


 大将と話ている内にも、女給がエールをどんどん配っている。

 無駄な出費のようだが、娘と二人ヘンピ町冒険者ギルドで気持ち良く活動する為の人気取り必要経費として割りきる。


 ゴブリンに囚われていた間、私はろくな物食べて居なかった、久し振りに食べるまともな食事は泣けて来るほど美味しかった。

 顔色の悪いエルフに見える私の娘、正体はゴブリン変異種だ、生後僅か1日程で普通に食事が出来てる、食べ方が分からない様で私の真似をして、同じ物を同じ量口に入れ咀嚼も同じように真似をしている。

「レンスープ旨いだろ」

「うん、すーぷうまい」

 言葉もちゃんと会話が出来るくらい進歩した。

 赤子は手のかかる者と聞いて居たが、レンは全く手がかからん、ズボラな私には出来すぎた娘だ。


 忘れる所だった。

「誰か安くて旨い飯を出す宿屋知らないか?」

「セレンさん、それならギルド前の『憩い亭』がお勧めだ、一人一泊銅貨5枚朝食付き、レンちゃんは子供割引で銅貨3枚だぞ」


「凄く安いな」

「宿屋の主人が元冒険者で、冒険者を安く泊める為の特別料金だそうだぞ」


 皆で騒いでいると、ギルドマスターがやって来た。

「セレン、ゴロスはあんたの狙い通り、死んでは居らんが首の頚椎けいついを損傷した様で左半身不随、声帯も損傷して声も普通に出せん状態で引退させた。そこでランク審査官が全くの不在になってしまった。セレン!責任を取ってもらってランク審査官として臨時職員になってもらう!」


「ランク審査官って私Cランクだよ」

「お前さんくらい強かったら、大概のランク審査可能だろう!ヘンピ町冒険者ギルドにCランク以上の受験者は来んよ、AやBランクは王都冒険者ギルドに審査を受けに行く、安心せい」

「臨時職員じゃ給料出んでしょ」

「審査料金の半額が給料だ、審査なんてほとんど無いから平生は冒険者活動して居れば良い」

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