第3話 ヘンピ町冒険者ギルド
小川は意外に近くにあった。
セレンは、革鎧を外し服を脱ぎ全裸になって小川に入った。
小川は中央の深い所でも膝までの水深、座り込んで延び放題の髪を丁寧に洗い顔首と順に洗って行く。
辺りの警戒しながら、グラスウルフの解体を始めた5人の冒険者達が、チラチラこちらを盗み見してる、今更減るもんじゃない!みるなら見ろ!と開き直り、服を洗い革鎧の手入れをした。
Dランクになった記念に新調した革鎧は水をはじく、革製品だが丸洗い可能で綺麗になった。
固く絞ったが服を干す余裕はない、気持ちは悪いが着干しすることにした。
名付けもしていない娘は、私の用が済むまでおとなしくこちらを見ていた。
「まー」
用が済んだのが分かった様で、ボロ着をまとった娘が立ち上がり私の所まで歩いて来た。
「お腹が減ったか?・・・もう歩けるのか?」
生後数時間で歩く我が娘に驚いたが、それよりこの娘に生まれてから何も飲み食いさせて居ないことに気付いた。
「母乳は出る・・・オッパイ飲むか?」
「にょム」
乳房に吸い付く我が娘の頭を撫でながら違和感が?
(この娘、今「にょム」って答えた?)
容姿は全く違うがゴブリン娘だからか成長が早い、頭を撫でながら生まれたときより既に少し成長しているのがはっきり分かる。
「トン達、誰か着替えを持って無いか?」
5人組は全員孤児仲間で、最近Fランクに上がったばかりのトン、チン、カン、ポン、コチと名乗っていた。
「ぼろ布みたいで悪いが、持ってるぞ」
洗い立ての様な服を出して渡してくれた、少しヨレヨレなのは干す時張らずに干したためのようだ。
「ありがとう、お礼銅貨2枚で良い?」
「要らねぇ、グラスウルフのお礼にもならんボロだから」
お金の価値を知らないゴブリン達は、光っている金貨銀貨は集めるが汚れてくすんだ、綺麗でない金貨や銀貨は放置していた、銅貨にいたっては見向きもしない、私は囚われの期間しっかり全て集め結構な金持ちになってる。
それと同じで私の剣は光を反射しない、つや消しされた特注品なので綺麗に見えない、そんな剣はゴブリンに取り上げられる事がなかった。
オッパイ飲んで満足した娘を洗い、トンにもらったシャツを着せ、今までのボロ着は処分した。
粗末なワンピースを着せたようになった。
(裸よりまし、これで町に行ける)
「解体手慣れているな!上手いもんだ」
「俺達、この解体技術を見込まれてGランクからFランク冒険者になれた」
「フォレストボアの解体とか出来るか?」
「このナイフで切れる物なら、何でも解体出来るぞ」
「私は解体が苦手だ、倒した獲物の解体頼めるか?ギルド買い取りの2割支払う」
「それは願ってもねぇ!!是非やらせてくれ!」
トン達が育った町、ヘンピ町に案内してもらった。
私がゴブリン達に捕まったのは、魔の大森林を挟んだ反対側リッツ王国の辺境キワマ町近辺だった。
ヘンピ町は結構活気にみちた町だった。
門番にギルドカードを見せると、問題なく町に入れた。
「セレンさん、俺達冒険者ギルドに行くがどうする?」
「私も着いて行く、この娘の登録もするつもりだ」
「ん?そんなチビっ娘を冒険者にするのか?」
「冒険者ギルドは年齢制限なし『来る者拒まず去る者追わず』の冒険者互助組合が発足理念、この娘でも登録出来る」
ただ、名無しでは登録出来ん!
「良いか?お前の名前は・・・レン、言えるか?」
「うん、ママ、わたしなまえはレン」
「しっかり名前が言えて偉いぞ!」
頭をグリグリ撫でやった。
レンは嬉しそうに笑顔を見せた。
ヘンピ町冒険者ギルドに着いた。
トン達は買い取りカウンターに向かった。
「ご用件は?」
「この娘のギルド登録とFランク審査希望、ついでに私のCランク審査もやってくれ」
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