第8話
姉さんのうちに戻って車庫に向かうとすでに俺用にとバイクが三台置かれていた。
一台で十分よ!?
原付って二十万くらいのを想像するよな。
これいくらなんだろ。
アメリカンなのとなんかモトクロス?なんだっけ崖攻めそうなやつと、よく見かける原付の上位互換みたいな。
「ここにダサいのは置きたくありません」
ダサいってなんよ。
みんな違ってみんな良いんだよ!
そりゃ俺だってカッコいいの好きだよ。
でも普段使いってやつが一番だろうが。
「あと、いずれ必要でしょうから旬さまでも乗れそうな自動車も買いました」
即日即納!!!
良くある国産のそれなりにお高いハイブリッドカーがあった。
うーん、いい黒だねぇ。
「これが私的にこの車庫に入れていい妥協点です」
バカァ!!!
これでもお高いよ!!
「俺はこのバイクにするよ」
上位互換が俺的に背伸びしてるバイクって感じでいいや。
「小市民」
うっさい。
ちなみに普通に姉さんのか秘書のか知らんけど、限定解除なデッカいバイクがサイドカー付きも含めて十台くらい並んでた。
特撮とか出てきそうなカスタムされてるぞ。
これは、姉さんってば、採石場かなんかで「トゥ!!」とかやって遊んだに違いない。
等身大フィギュアとか並べてる部屋があっても驚かないぞ。
「・・・」
どっと疲れて屋敷に帰れば、双子がお出迎えしてくれた。
猫耳メイドは素直に嬉しい。
「おかえりなさいにゃ、響子ちゃん」
「おかえりなさいですにゃ、舜さま〜」
広い玄関ホールで双子がぴょんぴょんとしてる。
「今日は冷や汁定食にゃー」
「生姜焼きもついてますにゃ」
食べることしか頭にないのか?
とりあえず俺に与えられた部屋へ向かうと段ボールが積まれていた。
マジでアパート解約しやがった!!
「引っ越し屋さんが来たにゃん」
「洋服に猫ついてたですにゃん」
そうかー。猫のとこかー。ありさんでもゾウさんでもなんでもいいよ。勝手にまとめられてるのがショックなんだわ。
「仕舞うのお手伝いするにゃ」
「収納名人ですにゃん」
俺の返事を聞く前にガムテープを剥がし始める。
俺がいない時にしなかったのは褒めるけど、返事聞いてないよね?今!!
「にゃー!!水着の写真ばっかにゃ」
「こっちは外国のお姉さんですにゃん」
!!!!!!!!!!!
「その箱は俺がやるから」
いきなりそれを引き当てるとか!!
半分はカケルたちが置いていったやつだからぁ!!!
「おっぱいはミズメちゃんの方がおっきいにゃん」
「可愛さはあずきちゃんが勝ちですにゃ」
そこは好みはそれぞれということで!!!
ちょ。ミズメさんの胸もう見れないじゃん、やめて。
その次は下着を開けられた。なんなの!
食器とか普通な本だってあるのに!!!
母さんの荷物もまだ少しあったと思うよ!!!
今のところ普段着と勉強道具くらいしか必要ないからねクローゼットルームに全部入れさせてもらうから!!!
「これはアルバムですにゃん」
「結構古いにゃん」
なぜエロ本の中に母さんのアルバムが・・・。俺のせいじゃないぞ。確かに別の棚に入れてた。
「あ〜、大城戸にゃ」
「本当にゃ」
父さんの写真も残ってたのか。気づかなかった。
って言うか苗字で呼び捨てはウケるな。
「勝手に開くな」
「「にゃー」」
最近は全部データ保管だから俺の写真は子供の頃の数枚しか貼ってないはず。
母さんと父さんが並んでる写真は妙な気分になるな。
物心ついた頃にはいなかったから。
「・・・」
思い出の場所が秘宝館とかなんなん。
インディならせめてネズミの楽園行け。
あんたもツチノコ探ししたんか。
町おこしのはお宝もらえるからそそられたんか。
母さんが爆笑してるから良いのか?
俺・・・この二人の子なんだ。
古い写真を遡ったら、母さん、黒ギャルっていうの?なんか目の下白く塗ってる。
父さんのインディよりインパクトあるんだけど。
マニュキアめんどくさい言ってた母さんの爪はえらいことになってるし、ケータイにマスコットとかじゃらじゃらしてるー。
母さんのミニスカとか全然萌えないんだけど。
お友達らしき人たちも似た格好で。
マジか。
人生をエンジョイしてたんだな。
エンジョイしすぎて、父さんを選んじゃったか。
母さんが一番トレジャーハンターだったんじゃね。
俺が知ってる母さんは、ちょっと毒舌でひょうきんなどこにでもいる普通のおばさんだったんだけど!
こー言う過去をもっと話してくれてたら、姉さんが不思議ハンターでも笑って受け入れられたかな?
んーーーーー。
やっぱ、不思議ハンターはねえよな。
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