第2話 校外学習で

「皆さん、おはようございます。さて、今日は校外学習です。今から各グループで

Ⅾ級ダンジョンに潜っていただきます。下から一つ上のランクですが、皆さんなら大丈夫だと思います。それでは、頑張ってください。各自グループに分かれ、開始!」

始まってしまった……サイアクの校外学習が……何が最悪かって?そんなの。

メンバーに決まっているじゃないか!俺の周りは俺のことを無能呼ばわりしてくる奴らばっかりだ。いつもは裁斗と同じだから、口を出されないが。なんてったってあいつは、魔術実技学年1位の超天才だ。そんな奴が俺の周りにいたんじゃ、だれも口を出しては来ない。だが、今回は違う!あいつが班の中にいないということだ。

一つの学年に一クラス約20人で5クラスあるのだが、一つの班はなんと5人だ!

……あきらめるか。「おい無能!せいぜい足を引っ張らないでくれよ!お前がいると邪魔なんだ!」早速か。やっぱこうなるよなぁ。「おい!聞いてんのか!」「わかったよ。それより、早く進んだほうがいいんじゃないのか?」「チっ!」

きれいな舌打ちだな。わかりやすくて逆に助かる。まぁ仕方な。この班でうまくやるしかないか—――――—――――—――


数分後 ダンジョン内にて。

「ねぇ、神田君。」「どうした?阿部斗真君?だったっけ。」急に話しかけられたから驚いたな。「君、固有魔術がひとつも発現してないって本当なの?」「あぁ、本当だ。」

「何か、病気ってわけではないの?」「さあな。俺にもわからないんだ。でも、なんでそんなことを聞くんだ?」「僕の固有魔術はね、治癒なんだ。魔術名、万物治癒って言ってね。これは、固有魔術としての段階で、すべての病気や怪我などを治せるものなんだ。だから、もし病気なんだったら治せるかも!って思ったんだけど…」

「気持ちはうれしいが、病気ではないんだ。それに、これ以上俺と話していると君まで目を付けられるよ。」「そんな……」「まあいいや。それに。敵が来たみたいだ。魔力が乱れてる。」「え?魔力感知には何も……」「伏せろ!阿部君!」唐突に炎魔法が飛んできた。ゴブリンメイズか?「な、なんだ、あれ……」「なんだこのでっかいの…」なんだ?何がいた?誰もけがはしていなそうだが……やっと煙が消えたと思い、目を開けたその瞬間、目の前にいたのは……「ご、ゴブリンキング……」

「全員退避!固まるな!散らばって逃げろ!」「阿部君!立て!」「う、うん!」

「転移石碑に急げ!」「わかった!」まずいな。ゴブリンキングがいるってことは、どこかにゴブリンが大量にいるってことだ。ここはⅮ級のはずだろ?「あった!石碑だ!」「速く!」まずい追いつかれる!「無能!お前が足止めしておけ!おらぁっ!」……は?なんだあいつ。自己中にもほどがあるだろ。リーダーが手を伸ばしてくれてたのに、俺にタックルしてリーダーの手を払いのけやがった。てか、やばくね?どうしよ。「神田君!何してるの!速く!」「無理!間に合わん!」「どっか隠れる場所……!神田君!あそこ!小さな穴のとこ!速く!」「ありがと!」「生き延びてよ!」「頑張る」そして俺はそこにスライディングして滑り込み、ゴブリンの追跡を免れたわけだが……どこだ?ここ。黒色の…神社?みたいなのが立っている。誰かが建てたのか?…いや、ここはダンジョンだ。安全に建物を作ることなんて……

「やっと来てくれたかぁ~大変だったんだから。君を呼ぶの。」「誰だ!」

「そう叫ぶなよ。君に危害は加えないから。」「俺をここに呼んだといったが、どういうことだ?どこにいる?あのゴブリンはお前が仕掛けたのか?」「だーかーら、そう一気に聞くなって。僕も疲れてるんだから。それに、ずっと目の前にいるじゃないか。」「は?」目の前?俺の目の前は神社だぞ?……そこか?「とりあえず、本堂に上がってよ。」「……ああ。」なんなんだ?ここは。こんなダンジョンがるなんて聞いてないんだよな。「さて、単刀直入に言おう。神田湊。君には、死神になってもらうよ。」「……ゑ?」「ゑ?じゃなくて、言葉のまんまの意味。」「しにがみ?なんで?」

「きみ、過去に車が事故にあったことがあるよね。」「まあ、ある。」「その時、家族とともに君も死ぬはずだった。」「……ゑ?」「君に死神としての素質が発現したから生かしておいたんだよ。」「はぁ?だいたい、俺はまだ固有魔術も……」

「それは、死神としての能力を完全に取り込むために時間がかかってしまったからだね。今、君のもとに固有魔術が発現した。」「え?」「確認してみるといい。頭の中にイメージを浮かばせて。」俺の、固有魔術……!なんだこれ!まぶしっ!「めっちゃ光ってたんんだが、これはなんだ?」「よかった。やはり素質は完璧のようだ。君は、僕の神格魔術に適応するために、神格の固有光魔術を発現させたんだ。」

「神格?固有魔術?」本当にわけわかめなんだが。とりあえず、この神様っぽい人に従うしかなさそうだな。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る