第3話 死神の力

「なぁ、あんたは何者なんだ?」「僕かい?僕は死神だ。」「だよな?だったら、

俺を死神にする必要はないんじゃないか?」「……そうだね。まだ全く説明をしていなかったからね。仕方ない。じゃあ、しっかりと説明しようか。」「わかりやすくしてほしいんだが…」「まず、君を選んだ理由は、固有魔術、魔力量ともに尋常じゃない才能を発揮していたからだ。魔力は努力で手に入れたものだろうけど。」そうだ。俺は魔力の修練だけは毎日ずーーっとやっていた。おかげで、日常生活の中に魔力を練ることが自然になってしまうぐらいに。「君の魔力量は膨大だ。そして、魔力練度も。君が自分に固有魔術が発現しないと気付いたのはいつだい?」「確か、11歳の誕生日だったはず。周りのみんなは固有魔術を操り始めたのに、俺には何も現れなかったから、まずいとおもって、その日から魔力トレーニングを始めた。」「そう。それだ。人間の魔力の成長はね、17歳ほどで伸びにくくなってしまうんだ。それなのに、人間は高校生ぐらいからしか専門的に学ばせない。だが、君は11歳からの6年間すべてを魔力修練に費やしていたからね。異常なほどの魔力になっているよ。」なるほどな。やっぱり、努力は無駄じゃなかったんだな。「しかし、不思議だな。君の魔力はリアルタイムで成長している。なぜだ?」「ああ、それは今も魔力を練っているからじゃないか?」

「なるほど。なら、いったん魔力を完全に解放してみてくれないか?君の情報があまり細かくわかっていないんだ。」「……わかったけど、あまり期待しないほうがいいと思うぞ?」「いいから。」「わかったよ…」ふぅ、久しぶりだな。この感覚。ずっと魔力をため続けてたから、魔石でも作れるんじゃないかと思ったよ。さあ、解放だ。

「はぁぁっ!」「なっ!」神社と岩の空間に大きな音が響き、岩に亀裂が入る。

「き、君はどこまでのポテンシャルを秘めているんだ?しかも、なんで君が…弟君の

氷凍をもって……」「え?」「おかしい。なんでだ?彼は光の神格魔術だけでなく、氷まで持っているのか?」「どうした?なにがあった?」「湊くん。君、弟君の魔術は覚えているかい?」「氷凍だけど。」「死に際に、弟君は魔術を放ったかい?」「ああ。俺を守るために氷を張ってくれて……」「なんてことだ!いや、君の魔力量ならあるいは……」「だから!なんなんだって!」「ああ、すまない。取り乱してしまったよ。君の弟が使っていた魔術が君の能力として加えられていたんだ。魔力量が異常なほど多くない限り、神格の魔術を3つも持つことは不可能だからね。」「ん?3つ?」「ああ、君にはほんの少しだけ弱いけれど、死神の能力も備わっている。すでに、君には死神なることの拒否権などなかったようだ。」「なんて迷惑な……」「まあ仕方ない。あとは、神格魔術の光、氷凍、死力の3つを修練してもらおう。」「俺死神になるなんて言ってないぞ?それに、今獲得したばっかりなのに、もう全部つかえるのか?」「あたりまえじゃないか。何のためにここに呼んだと思っているんだ。」

「まさか……俺帰っていいかな?」「ダ~メ。それに、外にはゴブリンがいっぱいだよ?」「最悪だ。」俺の人生大丈夫かな。「いつ帰れるんだ?俺がここにきてからどのぐらいたった?」「ああ、それなら大丈夫。こっちにいるときは、時間が止まるようにしてあるよ。」……こりゃ本格的に詰んだかな……








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