ベイビーとママの仲直りと元ベイビーの過去回想

本日の業務が終わる。


SE:ドア音


先輩

「ゲンジさん、おはようございます」


部長

「ああ、おはよう」


同期

「なにがおはようですか! 悪びれもせず定時までサボらないでください!!」


先輩

「マキちゃんもおはよ」堂々とした態度


同期

「……少しは罪悪感とか無いんですか?」嫌そうな感じ


先輩

「ごめんなさいね。私も働こうとしたんだけど、カケル君、私の体に抱きついて寝ちゃったのよ。彼のゴツゴツした大きな体で抱きつかれたら私も抜け出せなくって」

そんな事実は無い


同期

「そんなのウソ……」


先輩

「でも、見てないでしょ」


暖簾に腕押し状態のやり取り


SE:小さくドア音


先輩

「……それと、ハナちゃ〜ん」


後輩

「はいっす!」びっくり!


先輩

「挨拶もなしでコソコソ帰るのは咎めないけどカケル君と仲直りしてから帰ること」ビシッ!


後輩

「う~……」


先輩

「大丈夫よ。彼は大きな声でちょっとビックリしただけだもの」


先輩

「カケル君のママなんでしょ〜。育児放棄はダメ。子育ては楽しいことばかりじゃないの、恐れずに向き合わなくちゃ」

ココいいセリフだよ。ホントダヨ。


同期

「部長、ミサキ先輩ってホントに独身なんですか? 子育て経験ありそうなんですけど……」神妙な顔つきで


部長

「そんなわけ……」しりすぼみ


SE:オーラの音

SE:色気あるジャズ


先輩

「ミルクよく飲めましたね〜」


部長

「あぶぶ。あぶあぶ」ご機嫌


先輩

「じゃあ、背中をさすりますね〜」


部長

「キャキャキャキャキャ」超ご機嫌


SE:回想終わり


同期

「部長?」


部長

「ああ」我に返る


部長

(咳払い)「っと、『ミサキ君が既婚者で子育て経験があるか?』だったな」


同期

「はい」


部長

「ない。絶対に無かった」めっちゃ語気強め。なんかやましい事があるのかよと言いたくなるレベル


同期

「そ、そうなんですね……」気圧される


先輩

「ほらほら、カケル君の前まで来たんだから勇気をだして!」


後輩

「カ、カケル先輩! 眠い時に大きな声出してごめんなさいっす!! もっとお歌も上手になるっすから許して欲しいっす!!」


赤ちゃん

「あ〜う?」


後輩

「ダメっすか……」


SE:ドタドタハイハイ音


先輩

「ハナちゃん!」


同期

「あ、危ない!」


SE:ぶつかる音


後輩

「わっ!」


SE:ドサッと倒れる音


赤ちゃん

「キャキャキャ!!」超ご機嫌


後輩

「カケル先輩、アッハッハッハ。くすぐったいっす。お腹、息、舐めるの、辞め、アハ、アハハハハ!!」

息も絶え絶え、でもニッコニッコ。


同期

「コレは仲直り……でいいですよね」


先輩

「そうね。でも……」


同期

「はい……」


同期・先輩

「絵面がアウトですね(よね〜)」


先輩

「それじゃ、仲直りも出来たことだしそろそろ」


同期

「ああ、先輩は帰れませんよ〜」サラっと告げる。


先輩

「あら〜、どうして? 私の仕事は色々あって全部終わってるはずだけど?」すっとぼけ


同期

「そうですね。先輩の仕事は部長が必死にやってました。で・す・が!! 赤ちゃんになったカケルさんの分が丸々残ってます!」


先輩

「あ〜、そうね」


同期

「コレをサボっていた先輩にやってもらいます!!」

してやったリ顔でニマニマしてる


先輩

「まあ、カケル君にはついさっき借りが出来たしやりましょうか。……何その顔?」


同期

「いえ、やけに素直だなと……」悔しそうな顔を見たかった~


先輩

「たまにはね。ところでマキちゃんは定時で上がれそうなの?」


同期

「そうですよ! 今日は定時で帰られせていただきます。マキ先輩を手伝ったりしません!!」ニッコリ


先輩

「それは良かったわ〜。じゃあ、カケル君のお世話お願いね」


同期

「・・・・・・はい?」


先輩

「だから、カケル君のお世話。夕飯を作って、食べさせてあげて、お風呂に入れて、寝かせてあげるの」



同期

「そっ!私には……だいたい、仲直りもしましたしハナちゃんが……」


後輩

「呼んだっすか!先輩のお世話ならやるっすよ!!」


赤ちゃん

「あう、あう〜」ご機嫌


先輩

「それは無理よ。だって、ハナちゃんは実家暮らしでしょ。赤ちゃんになった成人男性をお世話してくれ〜なんてハナちゃんのご家族がひっくり返っちゃう」


後輩

「確かに自分の頭じゃ説明は無理かもっすね」


先輩

「ゲンジさんも家族が居るし、お世話できるのは一人暮らしの私とあなただけ。で・も、私はたくさんやることがあるから日付が変わるまで会社から出れそうにないのよね〜」


同期

「でも私電車通勤ですから……」


先輩

「そこは大丈夫よ。運転免許は持ってるのよね」


同期

「ありますけど車が無いですよ」


先輩

「カケル君の車を使えばいいわ。自家用車をずっと会社に置いとくと撤去しろって言われるし移動させたかったのよね〜」


同期

「ちょっと待って……」


先輩

「はい車の鍵。間違って口に入れたりしないように朝から預かってたの。私は忙しいからよろしくね〜」


後輩

「カケル先輩のことよろしくお願いするっす。自分も明日からもっとカケル先輩の役に立てるように何か考えるっすよ!!では、また明日っすぅ〜〜」


SE:ドア音

SE:走る


同期

「ああっ、ハナさん待ってください。あなたじゃないと車までカケルさんを運べないんです」


SE:立ち上がる


先輩

「そういえば〜、赤ちゃんとはいえお家に男の人を招くわけだけど……マキちゃんの部屋は片付いてるのかしら」


同期

「あっ、…………あああ、キッチンの洗い物、あとゴミと、……下着、干しっぱ……ううぅぅ……」

壊れかけの機械的な


先輩

「あら、大変ね。フフフフフ」


同期

「と、とにかくハナちゃーん待ってくださーい!!」焦っりまくっていけ!!


SE:走る音

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