ベイビーと後輩
SE:激しく開かれたドア音
後輩
「おはようございま~す、はたたま はな。30分遅刻で出社しぃ……あれ、また変な雰囲気っすねぇ?」
先輩
「しーー、ハナちゃん静かに。やっと寝てくれたのよ」
主人公のイビキ
後輩
「気持ちよさそうに寝てるっすね。カケル先輩、お泊り残業お疲れ様っす」
先輩
「う~ん、ちょっと違うのよね」
後輩
「どういうことっすか?」
先輩
「ほら、あ~れ」
SE:ドアを少し開ける音
同期
「だから、カケルさんは赤ちゃんになっちゃったんですよ。部長だってカケルさんが泣きじゃくる姿を見てたでしょ!!」
部長
「いや、そんな馬鹿な……赤ん坊のフリをしてるだけとかじゃないのか!!」
同期
「フリな訳ないじゃないですか! 毎日の残業や対人関係の悩みでストレスを溜め込んでたんです!!! 労基とか心理カウンセラーに相談に行きましょう!!!」
部長
「いや、それは……今、問題を起こされるとあと少しで取れそうな大口契約に、影響が……。あれは会社全体の命運がかかっていて」
同期
「契約がまとまってもこんな会社……」
SE:ドアを閉じる音
先輩
「ね」
後輩
「カケル先輩、ほんとに赤ちゃんになったんすか?」
先輩
「そうよ~、『幼児退行』ってものらしくて悩みとかストレスが原因だそうよ。でも、体は成人男性だから重いし暴れるしで寝かせるの大変だったの、だから~」
SE:ドア開ける音
SE:足音
先輩
「ねえ、マキちゃん、せっかく私が寝かせてあげたのにそうやってカリカリされると困るんだけど」
後輩
「あっ! カケル先輩の目がピクピクして起きそうっすよ」
先輩
「誰かが怒鳴ってたらまた泣き出すかもね」
同期
「分かりました。カケルさんの様子を見ましょう。部長。カケルさんが眠ったら今度こそ結論を出しますよ!」
SE:足音
部長
「それより今日の業務をして欲しいんだが……」
先輩
「ゲンジさんも来てくださいよ」
部長
「なんで、儂まで……」
先輩
「ゲンジさんなら、大きな赤ちゃんの行動がわかるかなと思ったので」(弱み握ってる感じ)
部長
「(咳き込む)わかった行こう……」尻すぼみ
SE:足音
SE:軽快なBGM
赤ちゃん
「あー、あーー、うーう?」寝起き
後輩
「うわー、本当に赤ちゃんっすね。うちの弟みたいでかわいいっす」
同期
「ハナちゃんの弟は成人済みの赤ちゃんなの?」
後輩
「そんなわけないじゃないっすか~、自分が今、18歳っすよ~、成人してたら弟じゃなくてお兄ちゃんになっちゃうっす」
同期
「(ため息)そんなことわかってるわよ。それで、弟はいくつなの?」
後輩
「2歳っす」
同期
「ハナちゃんには、やってることが同じなら26歳と2歳児が同じに見えるの?」
後輩
「そうっすよ~。おっ、カケル先輩、自分の方に来てくれるんすか?」
赤ちゃん
「あうう、うーーうー」ご機嫌
SE:重めのハイハイ
後輩
「いい子っす。さあ、自分の胸に飛び込んでくるっすよ!!」
SE:重いものに突撃されて倒れる音
同期
「ちょっ、あなた大丈夫?」
後輩
「アハハ! 先輩、重い、重いっすよ~!」楽しそう
赤ちゃん
「あきゃきゃきゃ」上機嫌
後輩
「ほれほれぇ~、脇腹ツンツンっす~」
赤ちゃん
「うきゃきゃきゃ!!!」超上機嫌
同期
「もう一度言うけど、それ成人男性よ」
後輩
「でも、赤ちゃんっすよ!」
先輩
「ハナちゃん、すっかり懐かれてるわね~。丁度いいしカケル君のお世話係をやってもらおうかしら?」
後輩
「ホントっすか!?」
赤ちゃん
「うーー、あうあぁ?」状況をよく理解できてない感
先輩
「ええ、ゲンジさんもそれでいいですよね」
部長
「あ、ああ、かまわんよ」
後輩
「カケル先輩のママってことっすか! 嬉しいっすね、カケル先輩!!」
赤ちゃん
「あーいうーうー、ぶぅぅーー」上機嫌
同期
「どうして、みんな、こんな異常事態をあっさり、受け入れちゃうんですか!!」
赤ちゃん
「う〜う〜」ご機嫌ななめ
後輩
「マキ先輩。怒鳴っちゃダメっすよ。よしよ~し、怖かったっすね〜、大丈夫っすか?」
赤ちゃん
「うー」ご機嫌ななめ
後輩
「もう、怖くないっすよ。ぎゅー」
SE:布の擦れる音
後輩
「なかなかご機嫌にならないっすね」
同期
「くっつきすぎ……」
先輩
「あの子に抱きつかれてるのに機嫌治らないのね……あっ、お腹が空いてるんじゃない? カケル君って朝ごはん食べてないでしょ」
後輩
「あーー!!絶対それっす!!」
SE:スーツのボタンを外す音
同期
「何する気?」
後輩
「自分、今母性MAXなんす。今なら出る気がするっすよ。あっ、部長はちょっと後ろを向いてて欲しいっす」
SE:服を脱ぐ音
同期
「やめなさい!」
SE:スパーンと頭を叩く音
後輩
「(い)ってぇー、グウゥー……。あ、頭が痛いっす」
SE:ゴロゴロローリングしてる音
先輩
「マキちゃんもやりすぎだけど、ハナちゃんも少しは考えて行動しなさい。身体は成人してるんだから普通のご飯で大丈夫でしょ。それとも……やっぱり、成人しても赤ちゃんならミルクを飲みたいのかしら? ハナちゃんを凝視してるゲンジさんはどう思いますか?」
部長
「(咳き込む)歯があるんだからご飯でいいと……思う」
先輩
「そうですか。だそうよハナちゃん」
後輩
「言われてみればそうっすね。でも、朝だから社員食堂はやってないっす。……あっ!」
SE:せわしなく動く音
同期
「次は何をする気ですか?」
後輩
「ふふ〜ん、これをカケル先輩にあげるっす」
先輩
「それ、ハナちゃんのお弁当でしょ。ホントにいいの?」
後輩
「いいっす。今日は食堂で食べるっす!」
後輩
「じゃじゃーん、オムライスっすよ。ほら、あ〜ん」
赤ちゃん
「あー。ん〜〜」(ご機嫌)
後輩
「また先輩が笑ってくれたっす。あっ、先輩口から溢しちゃダメっすよ」
先輩
「それ、ハナちゃんが作ったの?」
後輩
「違うっす。自分、朝、起きれないんで毎日ママに作ってもらってるっす」
同期
「2歳の弟がいるんですよね。少しはお姉ちゃんらしく頑張りましょうよ?」
先輩
「それもそうねぇ〜、お母さんに迷惑かけるハナちゃんにカケル君のママが務まるかしら?」
後輩
「それは……でっ、できるっす。明日から早起きしてお弁当作って、時間通りに出勤して……それで立派なママになるっす」ここ宣誓
先輩
「すっかりカケル君に魅了されてるわね。ウフフ」
後輩
「せんぱ~い。はい、あーーん」
赤ちゃん
「ん~」上機嫌
後輩
「もりもり食べて大きくなるっすよ、目指せ身長400センチ!!」
同期
「無理でしょ」思わず出たツッコミ
先輩
「さっ、今はハナちゃんの好きにさせて、私たちは通常業務に戻るわよ。もうとっくに勤務時間なんだから。ハナちゃんも全部食べさせたら植物の水やりやっといてね」
後輩
「了解っす」
赤ちゃん
「あぁーうぅー」ご機嫌
SE:複数の足音
同期
「あの、カケルさんの悩みの原因はみさき先輩ですからね!」
先輩
「あら、そうだった?」
同期
「とぼけないでください! ああ、もう! 私は仕事を始めます!!」
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