第7話 シナリオは続く
アーロンはその後、王都に帰ることになった。
元々、抜け出してきた状況であったため、王の許可なしにこれ以上危険な場所に連れて行けないという建前だったが、アーロンを見る度にあの娘をおもいだして私が泣いてしまうことが大きな理由だった。
「元気でな、最後まで一緒に行けなくて本当に残念だ。」
勇者ロレンスがそういうと騎士アーロンは困ったように私を見た。
「いいや、自分でもわかってたんだ。これ以上行っても足でまといになるだけだって。人を送るよ。最強の騎士を。君達が怪我しないように。」
寂しそうに言ったアーロンに賢者ミロが首を振った。
「アーロンがいなければ、ここまで来れませんでした。本当にありがとうございます。」
「賢者様にそう言って貰えて嬉しいです。」
私も泣きながら頭を下げる。
「ごめんなさい。今までありがとう。」
「...謝るのは私の方だ。これからも辛い旅をさせてしまうことを許して欲しい。」
「ううん、いいの。あの娘も私達が幸せに暮らすことを望んでいるから。だから、いいの。」
泣きじゃくり始めた私をアーロンが優しく抱きしめる。
その時間は長くなかった。
「それじゃ、また王都で!その時は盛大にパレードを開いて歓迎する!」
心残りを振り切るようにアーロンは走り去って行った。
私は泣きじゃくりながらぼやけた視界でそれを見ていた。
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