第2話 聖女召喚

 このファンタジー世界に、異世界召喚されたのが、3年前のことだ。

 地球でOLやっていた私は、突如として、見知らぬ場所へと連れてこられた。


 その際、私、犀川さいかわ聖子と一緒に、若い子が呼び出されていた。

 呼び出した魔法使いたちは、聖女が二人居ることに驚いていた。


 そこへ、バカデンス王子が堂々とやってきて、私ともう一人、ブリコを見て、うなずいた。


 そして、バカデンスはブリコのほうへ歩みより、手を取ってこういった。


「あなたが聖女だな?」


 と。

 何を持って聖女だと思ったんだろうか。

 根拠を言えよ根拠をって思ったんだが……。


「はいっ、あたしが聖女ですわ! 王子様!」


 って、ブリコがハッキリと答えやがった。

 自分が聖女である根拠を(以下略)。


 こうしてバカデンス王子はブリコを連れて出て行った。

 残された私は、召喚魔法使いを問い詰めて、事情を把握した。


 曰く。

・この世界は瘴気と呼ばれる毒ガスに悩まされてる。

・瘴気は魔物をうみ、人々を傷つける悪しき存在。

・瘴気を浄化できるのは、聖女だけ。

・聖女は瘴気発生が起こると、自動的に選ばれる仕組みになっている。


 だが、今年は瘴気が発生したのに、聖女が出てこなかった。

 そこで、いにしえの魔法使いが残した【聖女召喚魔法陣】を使い、異世界より聖女を呼び出した、らしい。


 聖女がブリコなら、じゃあ私はなに?


【恐らく召喚に巻き込まれたのだと思われます】

【そう、そうか。じゃあ元の世界に帰せよな?】

【そ、それは……】


 どうやら、呼び出すことはできるらしいが、元の世界に帰す術はないらしい。


 ……ぶち切れた私は城から出て行こうとした。

 しかし外は魔物がうろついていることもあって、危険だという。


 だからこの王都に留まって欲しい、と言われた。

 私は仕方なく、この国に留まってやることにしたのだった。


 で、3年後。

 いろいろやって、私は追い出されたってわけ。


 勝手に呼び出しておいて、最後はポイかよ。

 けっ。まあ、3年前と違って、今の私には【力】がある。


 この3年で身に付けた力があれば、ま、大丈夫でしょう。

 まずは働き口を見つけないとなぁ。

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