第6話「パーティへの出席」
「きゃあああああああああ!!」
セグイン大佐の声です。この人は常に叫ばないとダメなのでしょうか……。
私は今、化粧室でパーティ用のドレスに着替えていました。
トイレのことを化粧室と呼ぶ事があることは知っていますが、今回は本来の意味での化粧室。化粧やお着替えするための場所です。
着替えたドレスは青と黒を基調としたもの。
セグイン大佐がある程度動きやすく、品のいいものを選んでくれたのでした。
これと比べると中尉が選んだものはいささかメルヘンチックだっというか……、物語のお嬢様が着てそうなものでした。当然、私にそんな服は似合いません。
着付けもセグイン大佐が手伝ってくれて、順調に着ることが出来ました。
「やっぱりよく似合うわぁ……、シアンちゃん……」
恍惚の表情を浮かべながら、こちらを見てくる大佐はやや怖いものがあります。
大佐も普段の軍服ではなく、白いドレスを身に纏っていました。
普段ポニーテールの金髪も、さらりとストレートに仕上げています。
こういうところちゃんと大人だなぁ……。表情以外。
「あの、大佐。またキャラが変わってないでしょうか」
「え? ああ、ごめんなさい。私、今日はこれでいくわ。ほら、パーティでわしだのじゃのじゃのとか言ってられないからね、オホホホ」
ちょっと人が変わったような高笑いをしていますが……。
大佐なりの処世術なのでしょう。気にしないことにしました。
「ところでパーティは、どのようなプログラムになっているのでしょうか」
いつ歌うのか……、ということもありますし、色々と立ち回りが変わってきます。
「ふむ、基本的には立食パーティの予定よ。オープニングセレモニーをしたら、ひたすら立食形式で皆様ご歓談。いい感じに盛り上がってきたところで、シアンちゃんに歌ってもらおうかしらね。歌う曲、決まった?」
「それがまだ……」
セグイン大佐が歌詞の書かれたカードとデバイスを渡してきました。
デバイスは小瓶のような細長い形状で、イヤホンがついてあります。
「そんなことだろうと思って選んでおいたわ。一通り暗記したら、パーティ会場に入ってきなさい」
そう言って、ウィンクして大佐は部屋を出ていきました。オープニングセレモニーを始めるつもりなのでしょう。しかし本当にキャラが違いますね。ちょっと怖いな。
さて、デバイスで大佐の選んだ曲とやらを聞いてみましょう。
ふむふむ、なるほど。
どうやら『平和』というテーマを『爆弾』に交えて歌っている曲のようですね。
よし、時間もありませんし、さっそく歌詞を覚えるとしますか。
――――といったところで。
突然、私の視界が白く染まりました。
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